NPO法人キャンサーネットジャパン > FAQs > 血液がん > Q80:コロナワクチンを打つことでcar-t細胞へ何か悪影響が出る事はないでしょうか。
50代・悪性リンパ腫

Q.80
昨年末にcar-t細胞療法を受けました。 現在も血液検査ではB細胞の値が低いので抗体がつくかはわからないと言われています。 また、コロナワクチンを打つ事でcar-t細胞へ何か悪影響が出る事はないのかが一番不安です。 現在体調は問題なく元気なのですが、ワクチンは接種した方が良いでしょうか。
(患者・50代・悪性リンパ腫)

A.
CAR-T細胞療法後の患者さんに対する新型コロナウイルスワクチンの有効性・安全性についてのデータは乏しいのが実情です。が、例えば米国血液学会では、CAR-T細胞療法後の患者さんは、優先してワクチンを受けることを推奨しています。 リンパ腫に対するCAR-T細胞療法では、正常のB細胞が減少するので、ワクチンによって通常なら作られる抗体が作られにくいということが新型コロナウイルスワクチンについても分かっています。

ただし、抗体が作られにくい状況でもワクチンによりT細胞を介した新型コロナウイルスに対する反応が強化されることが少なくとも一部のワクチンでは知られているようです。

ワクチンを打つことにより、CAR-T細胞の働きが低下したり、CAR-T細胞療法の副作用が増えることは特に報告されていませんし、CAR-T細胞療法後の患者さんでワクチンの副反応が強くでやすいということも報告されていません。 CAR-T細胞療法後の方は、一般的に免疫低下があり、新型コロナウイルスにかかった場合には重症化のリスクがありますので、これまで知られていることから考えると、ワクチンを打った方がよいと考えます。

2021.8.19