NPO法人キャンサーネットジャパン > FAQs > 生活 > Q24:手術でリンパ節を6つも切除しました。COVID-19に感染したら重症化しやすいですか
40代・粘液性脂肪肉腫・東京都

Q24:2016年5月にリンパ管を広範囲に切除し、その後は再発転移なく元気に過ごしていますが、二回ほど、蜂窩織炎でかなり大変な思いをしています。 やはり、治療が終わっていても、リンパ節を6つ取っていることを考えると、新型コロナウイルス感染症に罹った場合も普通の人より重症化しやすいのでしょうか。
40代・粘液性脂肪肉腫・東京都

A:
脂肪肉腫の手術を4年前に行われ、その後、2回蜂窩織炎を生じられたとのこと、腫瘍切除に伴う障害に加えて、炎症や腫れで大変な思いをされたことと思います。
四肢の腫瘍・肉腫の切除後、患肢に『蜂窩織炎』を起こしてしまうことがまれにあります。これは、特に、太ももの内側や膝の裏側、脇の下などの手術をした時、大きな腫瘍を切除した後に生じやすい傾向があります。
このような場所を手術すると、もともとそのあたりにたくさんあるリンパ管、リンパ節などを一緒に切除することになり、術後、患肢のリンパ液の流れが悪くなり、「リンパ浮腫」という状態になることがあります。「リンパ浮腫」の程度はさまざまですが、患肢が腫れぼったくなったり、重だるい感じがすることがあります。
このような「リンパ浮腫」を生じた手足は、感染に対して弱い状態になり、そこに、ひっかき傷などによって皮膚にできた小さな傷から細菌が感染して、発赤や痛み、熱感を生じたものが『蜂窩織炎』です。蜂窩織炎の原因になる細菌には多くの種類がありますが、最も一般的なものはレンサ球菌とブドウ球菌です。治療は、原因となっている最近に対する抗菌薬の使用が中心になります。
肉腫の手術後の「リンパ浮腫」、『蜂窩織炎』は、主にこのような原因で生じると考えられるので、特段ウイルス感染とは関係ないと考えられます。また、ご相談の方は、術後、再発転移なくお元気にお過ごしとのことですので、特に全身の免疫力が低下していることもないと思います。
これらのことを考えると、現時点で、ことさらウイルス感染に弱いということを心配される必要はないのではないかと思います。また、新型コロナウイルスは呼吸器感染症を生じるウイルスであることを考えると、手足の手術でリンパ節を取ったことが病気の重症化につながるとは考えづらいと思います。
普通の方と同じように、マスク、手洗いなど呼吸器感染予防をしっかりされること、「リンパ浮腫」を悪化させないように、マッサージや、必要に応じて弾性ストッキングを使用されること、患肢のスキンケアを丁寧に行って細菌感染の原因となる傷を作らないこと、が大切ではないかと思います。
ご回答が少しでもお役に立てば幸いです。
2020.05.02up