NPO法人キャンサーネットジャパン > FAQs > 血液がん > Q68: GVHDが継続してあり、10年間、プレドニン、 バクタ内服しています。 ワクチン接種に問題はないでしょうか。医療従事者です。
50代・B細胞性急性リンパ性白血病 ph +ALL・兵庫県

Q68:先日お問い合わせ致しましたところ、回答では問題ないとのことでしたが、GVHDが継続してありまして、10年間、プレドニン、バクタ内服しています。ワクチン接種に問題はないでしょうか。医療従事者です。
50代・B細胞性急性リンパ性白血病 ph +ALL・兵庫県

A:
10年前の移植で今もプレドニン内服とはかなりしつこい慢性GVHDですね。
プレドニンの内服量にもよりますが、今まで、プレベナーまたはニューモバックス、アクトヒブ、テトラビックなどの不活化ワクチン、水痘、麻疹、風疹、ムンプスなどの生ワクチン、季節性インフルエンザワクチンなどは移植後に受けていませんか?
通常、移植後1年以降で免疫抑制剤中止後、あるいはCD4陽性Tリンパ球数>200μLであれば、最近は上記のワクチン接種(生ワクチンは抗体価が低いときのみ)が推奨されています。

もしこれらのワクチンを打っていないのなら、CD4陽性Tリンパ球数が慢性GVHDの治療により抑えられている可能性があります。

かりにCD4陽性Tリンパ球数が<200/μLであっても、ワクチンの効果が乏しいというだけでワクチンを打っていけないということではありません。
現在の新型コロナウイルスワクチンはコロナウイルスが人間に感染するときに用いているウイルス突起と同じ蛋白を体内で作らせるmRNAという遺伝子をワクチンとして用いています。
この蛋白を作る過程は慢性GVHDが続いていてもプレドニンを飲んでいても全く影響なく作れると思いますが、それに対する免疫(抗体)を作る力が、もしかしたら弱くて、あまりコロナ感染を有効に阻止できるほどの抗体が作られない可能性はあります。
あくまでも効果の問題で、副反応の頻度や程度は健常人と同等であろうと思われます。過去のワクチン接種時にアナフィラキシーという強いアレルギー反応が出た既往がある場合だけは要注意(というか打たないほうが良いでしょう)です。

バクタを服用している理由はおそらくニューモシスチス・カリニ肺炎の予防目的でしょうから、それなりに今もある程度免疫抑制が続いているという主治医の判断があると思いますが、バクタの服用自体はワクチンの可否には影響しません。

ただ、プレドニンの量とその必要性、今の慢性GVHDの活動性(活動性が強ければ、ワクチンのアレルギー的な副反応が強く出る可能性は否定できません)など、主治医しかわからない点が多いので、今、薬を処方してもらっている主治医によくご相談ください。

2021.2.25