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Q96:抗がん剤治療の間にコロナワクチン接種を入れても大丈夫でしょうか。抗がん剤からどれくらい日数を空けたらよいでしょうか。抗がん剤の種類によって変わりますか。

Q96:抗がん剤治療の間にコロナワクチン接種を入れても大丈夫でしょうか。抗がん剤からどれくらい日数を空けたらよいでしょうか。抗がん剤の種類によって変わりますか。

Q.96

コロナワクチン接種の予約をしたいと思っているのですが、抗がん剤治療の間にコロナワクチン接種を入れても大丈夫でしょうか。抗がん剤からどれくらい日数を空けたらよいでしょうか。抗がん剤の種類によって変わりますか。(がん患者)

A.

抗がん剤では、副作用対策でステロイドを使う場合は、数日空けた方がいいと思います。コロナワクチンの効果が弱まってしまう可能性があるからです。ワクチン接種後の副反応も考えると、抗がん剤投与日の前数日間も避けた方がよいです。しかし、それを考えすぎてどんどん先延ばしにするのではなく、抗がん剤治療中であっても、早めにコロナワクチンを接種することが望ましいと考えています。

オンライン市民公開講座「コロナ禍における上手な医療のかかり方」Q&Aより
2021.7.18

Q95:抗がん剤治療や放射線治療中のコロナワクチン接種について教えてください。

Q.95

抗がん剤治療中です。コロナワクチンの最適な接種時期の最新データがあれば知りたい。抗がん剤治療や放射線治療中のコロナワクチン接種について教えていただきたい。(がん患者)

A.

好中球が減っているので副反応が強いということはあまりないと思います。

各病院や日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会(3学会合同)のQ&Aなどが公開されています。それらをインターネットなどで検索して参考にしていただくのも良いと思います。抗がん剤治療中には、投与後数日間と投与前数日間は避けていただくのが無難で、白血球が減っている時期もできれば避けた方がよいと考えられています。ただ、ワクチン接種を早めに受けることも重要ですので、適切なタイミングについて、担当医とよく相談してみてください。

オンライン市民公開講座「コロナ禍における上手な医療のかかり方」Q&Aより
2021.7.18

※日本癌治療学会,日本癌学会,日本臨床腫瘍学会(3学会合同作成)
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とがん診療についてQ&A
-患者さんと医療従事者向け ワクチン編 第1版-

https://www.jsmo.or.jp/news/coronavirus-information/qa_vaccinel_3gakkai.html

Q94:抗がん剤治療中でもコロナワクチン接種は心配ないのでしょうか。

Q.94

抗がん剤治療中は白血球、好中球の数が低下するなど免疫が低下することが多いと思います。コロナワクチン接種は少量でもコロナウィルスを体内に入れると思うので、がん患者がコロナワクチン接種をすると副作用が起きやすいのではないかと心配です。抗がん剤治療中でもコロナワクチン接種は心配ないのでしょうか。接種すれば安心して通院できます。(がん患者)

A.

好中球が減っているので副反応が強いということはあまりないと思います。

ただし、もともと体調が悪かったりすると、同じ副反応でも、強く感じられるということはあるかもしれません。副反応が起きたときに体の予備能力の余裕があまりないために影響が強く感じられる可能性はあります。現在受けている治療の副作用と、副反応が重なるということもありえますが、そうだとしても、コロナワクチンを接種することのベネフィットの方が大きいと考えられますので、基本的にはお受けになることをお勧めします。

オンライン市民公開講座「コロナ禍における上手な医療のかかり方」Q&Aより
2021.7.18

Q93:新型コロナワクチン接種とCT検査が重なりそうです。CT検査を延期した方がよいでしょうか。

Q.93

悪性リンパ腫の治療後4年経過中です。経過は順調です。近くCTの画像検査を控えています。新型コロナワクチン接種と重なることが予想されます。CT検査を延期した方がよいでしょうか。(がん患者)

A.

CT検査を受けた直後にコロナワクチン接種を受けることは問題ありません。コロナワクチン接種のあとは、副反応で熱が出たり具合が悪くなったりする可能性があり、そうなると、病院の方針で、数日間は通常通りの検査や受診ができなってしまいますので、CT検査が予定されていて、ワクチン接種日を選べるのであれば、CT検査日前の数日間はワクチン接種を避けるか、ワクチン接種を優先するのであれば、CT検査日を変更することを相談するのがよいと思います。

オンライン市民公開講座「コロナ禍における上手な医療のかかり方」Q&Aより
2021.7.18

Q92:新型コロナウィルスの影響で、手術延期された場合、患者のステージングが進行してしまう場合もあると思いますが、何%位の患者がそのような不利益を被っているのでしょうか。

Q.92

新型コロナウィルスの影響で、手術延期された場合、患者のステージングが進行してしまう場合もあると思いますが、何%位の患者がそのような不利益を被っているのでしょうか。

A.

日本では海外のようにコロナで手術を延期されたケースはほとんどありません。それよりも、患者さん自身が受診を控えてしまっていることによる不利益の影響が大きいと考えられます。日本でも、受診控えでがんの進行度が進んで発見されることが多くなってきていることは現状でもあります。

オンライン市民公開講座「コロナ禍における上手な医療のかかり方」Q&Aより
2021.7.18

Q91:BRCA2遺伝子に変化(バリアント)があります。卵管卵巣予防切除は、コロナ禍では不要不急の手術と考えられるのでしょうか。

Q.91

BRCA2遺伝子に変化(バリアント)があります。卵管卵巣予防切除は、コロナ禍では不要不急の手術と考えられるのでしょうか。(がん患者)

A.

緊急性の高い手術ではありませんが、希望されているのであれば、あまり遅らせることなく受けられるのがよいかと思います。BRCAにバリアントがある場合の乳房予防切除や卵管卵巣予防切除は、保険適用になったこともあって、実施件数が増えていますが、現状では、コロナだから制限しているという状況にはなっていません。

オンライン市民公開講座「コロナ禍における上手な医療のかかり方」Q&Aより
2021.7.18

Q90:がん治療における「急ぎの手術」と「急ぎでない手術」の定義を教えてください。

Q.90

複数の部位で腫瘍が確認され、ステージ4と診断されたのに、コロナ禍のため、「急ぎではない手術は延期」と言われました。患者本人も家族も困惑します。がん治療における「急ぎの手術」と「急ぎでない手術」の定義を教えてください。(患者家族)

A.

国内外の外科系の学会でもホームページ等で急ぎの手術とそうでない手術について学会の見解が出されています。しかし、現状ではそこまで急ぎの手術だけに限るという状況にはなっていません。少なくとも東京はそこまでひっ迫していません。

一方、ステージ4で手術という判断されたのかとも想像します。これは個別の状況なので明確にはわからない部分です。急ぎの手術、急ぎでない手術は検討していますが、現状では、コロナが原因で延期していることはあまりないと思われます。

オンライン市民公開講座「コロナ禍における上手な医療のかかり方」Q&Aより

2021.7.18

Q89:がんの治療中にコロナに感染した場合、どのような治療方針を取られているのでしょうか。

Q.89

がんの治療中にコロナに感染した場合、どのような治療方針を取られているのでしょうか。(患者)

A.
コロナに感染した場合は、コロナの治療に専念し、その間はがんの治療はストップします。コロナの治療が終わり、回復したら、普通の治療に戻られる方がほとんどです。

オンライン市民公開講座「コロナ禍における上手な医療のかかり方」Q&Aより
2021.7.18

Q88:がん治療のため他県(居住地区以外の自治体など)での治療は可能でしょうか。

Q.88

がん治療のため他県(居住地区以外の自治体など)での治療は可能でしょうか。可能な場合、特殊な手続きは必要ですか?どのような手続きをするのでしょうか。
(患者)

A.
遠隔地からの通院が困難な場合、このようなコロナ禍の下では、可能であれば地元の病院との連携が良いのではないかと思います。受け入れ先と今の病院との調整も必要かもしれません。病院とご相談されることをお勧めします。

オンライン市民公開講座「コロナ禍における上手な医療のかかり方」Q&Aより
2021.7.18

 

 

Q87:転移の有無の検査をしたいのですが、医師側の治療スケジュール優先になるのでしょうか。

Q.87

現在ホルモン治療中ですが、転移の不安がぬぐい切れません。転移の有無の検査をしたいのですが、(コロナ禍での)医師側の治療スケジュール優先になるのでしょうか。
(患者)

A.

コロナの問題とは関係なく、転移を見つけるための検査というのは、症状のない限り、必要ないと考えられています。患者さんが強く希望される場合には、検査を行うこともありますが、検査をすることのデメリットも考えると、慎重であるべきです。

ちょうど、転移の検査の必要性を担当医と話し合うよいきっかけになるのではないかと思います。

オンライン市民公開講座「コロナ禍における上手な医療のかかり方」Q&Aより
2021.7.18

Q86:がん患者や家族がコロナ禍で注意すべきことなど伺いたいです。

Q.86

コロナ禍での経過観察中のがん患者や家族が、注意すべきレベルや病院との距離感など伺いたいです。
(患者)

A.
あまり過剰になりすぎず、工夫できることは工夫しながら過ごすことが大事かと思います。

オンライン市民公開講座「コロナ禍における上手な医療のかかり方」Q&Aより
2021.7.18

Q85:受診を控えてはいけないケースと、控えても問題が無いケースを教えてください。

Q.85

過度な受診控えが良くないことはわかっていますが、控えてもよいものとそうでないもの境目がよくわかりません。具体的に受診を控えてはいけないケースと、控えても問題が無いケースを教えてください。
(患者)

A.
マスク、手洗いなど基本的な対応をすれば、感染リスクはそれほど高くないことがわかってきています。基本的に受診が必要とされている場合は受診することがよいと思います。特にがん患者さんで通院が必要とされる場合は、予定通り受診されることが大事です。一方、ご自身の体調、感覚も大事です。個別の状況で答えが異なることもあります。主治医の先生とよくご相談ください。

「オンライン市民公開講座コロナ禍における上手な医療のかかり方」Q&Aより
2021.7.18

Q84:効率的で安全な経過観察の受診方法について教えてください。

Q.84

効率的で安全な経過観察の受診方法について教えてください。
(患者)

A.
経過観察と一言で言っても、個別の患者さんによって状況は違います。経過観察の必要性は患者さんと担当医とで相談されることが良いと思います。

「オンライン市民公開講座コロナ禍における上手な医療のかかり方」Q&Aより 
2021.7.18

Q83:がん患者だと、新型コロナの危険性が高まるのかを知りたいです。

Q.83

がん患者だと、新型コロナの危険性が高まるのかを知りたいです。
(患者)

A.
感染のリスクが高いとは必ずしも言えません。しかしながら、がん患者さんが感染した場合の重症化のリスクは高まると考えられます。

オンライン市民公開講座「コロナ禍における上手な医療のかかり方」Q&Aより 
2021.7.18

Q82:10年程前までLCH (ランゲルハンス)で治療していましたが、コロナワクチンを打っても大丈夫でしょうか。
30代・LCH・福岡県

Q.82

10年程前までLCH (ランゲルハンス細胞組織球症)で治療していました。コロナワクチンを打っても大丈夫でしょうか。

(患者・30代・LCH・福岡県)

A.

ワクチンを受けてよいです。
LCHに対しては化学療法やステロイド薬が用いられます。
これらの薬剤を終了して6ヶ月以上たっていれば、免疫能の問題はありません。

2021.9.16

Q81:海外で3回目接種後で同類疾患での中和抗体調査に関するエビデンスなどはありますでしょうか。
40代・悪性リンパ腫・大阪府

Q.81

WM(*注1)患者で分子標的薬にて治療中です。現在は体調に大きな問題はありません。 モデルナ2回目を接種し4週間後に自費で中和抗体検査を行いました。 基準値<50に対し78AU/mLで陽性ですが、健常者なら数百~数千の中和抗体があるとのことでブレークスルー感染(*注2)により重症化しないか心配です。 それと今後3回目のブースター接種(*注3)が国で計画されていますが、それを接種しても抗体価が十分に上がるかどうか心配です。まだ時期早々かもしれませんが、海外で3回目接種後で同類疾患での中和抗体調査に関するエビデンスなどはありますでしょうか。

(患者・40代・悪性リンパ腫・大阪府)

【注記】 (注1) WM:原発性マクログロブリン血症。  (注2) ブレークスルー感染:ワクチンをした後でも感染すること。 ワクチンがその目的とする病原体に対する免疫を提供出来ない場合に発生する。 (注3) ブースター接種:ワクチン接種の効果を高めるため、2回目、3回目のワクチン接種を行うこと。

A.

3回目のワクチン接種はイスラエルなどで始まっていますが、今のところ、これによって血液がんの患者さんで中和抗体価が上がるかをみた研究の報告は調べた限りありませんでした。中和抗体価があまり上がっていないということで、ご心配はあると思いますが、WMに対する治療効果や、他の治療選択肢でも同様(またはそれ以上)の影響があることを踏まえた上で、治療継続をお勧めしていることが多いです。

2021.9.8

Q80:コロナワクチンを打つことでcar-t細胞へ何か悪影響が出る事はないでしょうか。
50代・悪性リンパ腫

Q.80
昨年末にcar-t細胞療法を受けました。 現在も血液検査ではB細胞の値が低いので抗体がつくかはわからないと言われています。 また、コロナワクチンを打つ事でcar-t細胞へ何か悪影響が出る事はないのかが一番不安です。 現在体調は問題なく元気なのですが、ワクチンは接種した方が良いでしょうか。
(患者・50代・悪性リンパ腫)

A.
CAR-T細胞療法後の患者さんに対する新型コロナウイルスワクチンの有効性・安全性についてのデータは乏しいのが実情です。が、例えば米国血液学会では、CAR-T細胞療法後の患者さんは、優先してワクチンを受けることを推奨しています。 リンパ腫に対するCAR-T細胞療法では、正常のB細胞が減少するので、ワクチンによって通常なら作られる抗体が作られにくいということが新型コロナウイルスワクチンについても分かっています。

ただし、抗体が作られにくい状況でもワクチンによりT細胞を介した新型コロナウイルスに対する反応が強化されることが少なくとも一部のワクチンでは知られているようです。

ワクチンを打つことにより、CAR-T細胞の働きが低下したり、CAR-T細胞療法の副作用が増えることは特に報告されていませんし、CAR-T細胞療法後の患者さんでワクチンの副反応が強くでやすいということも報告されていません。 CAR-T細胞療法後の方は、一般的に免疫低下があり、新型コロナウイルスにかかった場合には重症化のリスクがありますので、これまで知られていることから考えると、ワクチンを打った方がよいと考えます。

2021.8.19

Q79:親が抗がん剤治療を終えて退院してきます。同居する私がコロナワクチンを接種して、親がコロナにかかったりしないでしょうか。
50代・食道がん・栃木県

Q.79
親が食道がんで抗がん剤治療を終えて退院してきます。退院予定日の次の日に同居する私がコロナワクチンを接種する予定です。私が接種したことで、親がコロナにかかったりしないでしょうか。抗がん剤治療後、免疫力が下がっているのではないかと思い心配です。
(患者家族・50代・食道がん・栃木県)

A.
コロナワクチンを接種しても、他人に感染させることはありませんので、ご安心ください。

2021.7.31

Q78:8年前に子宮体癌の手術を受け太もも付け根のリンパ節を両足とも切除したのですが、コロナワクチン接種をして副反応でリンパ浮腫にならないか心配です。
60代・子宮体がん・愛知県

Q.78
8年前に子宮体癌の手術を受け太もも付け根のリンパ節を両足とも切除したのですが、コロナワクチンを接種しても大丈夫でしょうか。副反応でリンパ浮腫にならないか心配しています。
(患者・60代・子宮体がん・愛知県)

A.
直接的な副反応でリンパ浮腫が発症することはないので、ワクチンは熱発なし、アレルギーなし等一定の条件を満たしていれば接種可能と思われます。

2021.5.23

Q77:小学6年生で脳腫瘍になり手術で脳下垂体を切除しました。現在ホルモン注射をしていますが、コロナに感染すると重症化しますか。
10代・脳腫瘍・奈良県

Q.77
小学6年生の時に脳下垂体に脳腫瘍にができ、抗がん剤、放射線、手術を受けました。今年で6年たちます。手術で脳下垂体をとったのでホルモン治療(飲み薬と、成長ホルモンの注射)をしており、2ヶ月に1回通院しています。退院して5年たっていますが、コロナに感染すると重症化する確率は高いでしょうか。
(患者・10代・脳腫瘍・奈良県)

A.
治療の種類によりますが、一般的に脳腫瘍の治療終了から6年経過している場合、ウイルス感染に対する免疫は正常レベルに回復しているはずです。
ホルモン補充療法も適正な生理量であれば、やはりウイルス感染に対する免疫力の低下はおこりません。
同年代の基礎疾患のない方と比較して、重症化する確率は同じと考えてよいと思います。

2021.5.13