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Q105:海外では移植半年からコロナワクチン接種を推奨していると聞いたこともありますが、日本ではどうなのでしょうか。
40代・成人T細胞白血病・福岡県

Q105:海外では移植半年からコロナワクチン接種を推奨していると聞いたこともありますが、日本ではどうなのでしょうか。
40代・成人T細胞白血病・福岡県

Q.105

Q.104で質問をした者です。 かかりつけ医にワクチン接種を相談したところ会議にかけて頂き、総意として慢性GVHDの悪化の可能性があるとして接種延期を勧められました。 アメリカなどでは移植半年からコロナワクチン接種を推奨していると聞いたこともありますが、日本では慎重論の方が多いのでしょうか? 各県や、公立病院と民間病院との実績データのようなものがあればご教授いただきたく存じます。

(患者・40代・成人T細胞白血病・福岡県)

A.

COVID-19ワクチンの接種自体が「人類初」の試みで、まして造血幹細胞 移植患者への接種となると、確立された方針はまだありません。

地域性や病院間の違いというのは特になく、各施設とも患者さん毎に リスクとベネフィットをよく考えた上で、最後は本人に決めていただいていると思います。あくまで一般的にはワクチン接種を勧めるケースが多いと思われますが、 今回はちょっと注意すべき点があり、以下長くなりますが説明します。

ワクチン接種のベネフィットは、先日回答した通りです。 COVID-19への中和抗体ができて感染や重症化を抑制できる可能性があることですが、100%抑制できるとは限らず、一般の方に比べるとやや低い確率になります。

一方リスクについてです。 造血幹細胞移植患者さんでは、熱発や倦怠感といった一般的な副反応とは 別に考慮されることがあります。 ワクチンは一般に免疫システムに作用するので、造血幹細胞移植患者の状態に影響する可能性がありますが、よい方向に作用するのか悪い方向に作用するか、まだ分かりません。 これは母数が少ないことと各患者さんの状態が違うことに基づくもので、 まとまったデータは今後すぐには出てこないと見込まれます。

造血幹細胞移植後患者に対するCOVID-19ワクチン接種後にGVHDが発症ないし増悪した例があるという報告が、少数ですがあります。 海外からの報告になりますが、GVHDのない患者さんでは10%未満、 もともとGVHDがあった患者さんでは約4分の1でワクチン接種後にGVHDが 増悪したと報告されています。 これらの確率をどう受け取るかは難しいところですが、活動性のGVHDを 有する患者さんではGVHDが増悪する危険性があることになります。

これらを勘案してもやはり、ワクチンのベネフィットを優先してワクチン 接種を勧めるケースが一般的です。

ただ今回気になるのは、移植に至った原疾患がATLであることです。 ご承知の通りATLは厄介な病気で、GVHDとドナーさんの血球がATLを抑える力という「免疫」の働きが大切と思われています。 ワクチン接種でこのバランスが崩れる可能性があり、主治医の先生はそこを懸念されているのだと思います。 例えばGVHDが悪くなって、免疫抑制剤を増やすことになる可能性があります。 それですぐに治まればよいですが、その後にATLが再発する危険もあり得ます。

あくまで可能性の話になりますが、それぞれのリスクがどの程度あるかは、 移植前の状態や現在のGVHDを知らないと判断できません。 すなわちこの辺は、実際に診療にあたっている主治医の先生の判断がもっとも尊重されるべきです。

一方でCOVID-19に暴露・感染する危険性は、現在おられる環境や活動性によってずいぶん異なると思います。 すなわち感染する危険の高い環境にいるのならワクチンのベネフィットを 優先してワクチンを受ける、そうでもないのならGVHDが悪くなるリスクを優先して接種を延期する、という考え方もあります。

いずれにしても、ワクチンによって得られるベネフィットとリスクを秤にかけて、主治医の先生ともよく相談・納得した上で、最後はご自身で決めていただくのがよいと思われます。

2022.2.22

Q104:1年2ヶ月前に造血幹細胞移植受け、現在毎日免疫抑制剤(ネオーラル)50mg服用しています。1年経ちましたが、今から コロナワクチン接種をしても抗体はできないのでしょうか。
40代・成人T細胞白血病・福岡県

Q.104

1年2ヶ月前に造血幹細胞移植受け、現在毎日免疫抑制剤(ネオーラル)50mg服用しています。 1年経ち、同量のネオーラル服用時に主治医にコロナワクチン接種を打診して断られましたが、今回は不活性化ワクチン接種の許可が下りました。 ただ、接種したところで抗体が出来るのか分からないとも言われました。 オミクロンが身近に迫っているので1回でも接種し、重症化を防ぎたいと思ってますが、打っても抗体もできず意味ないものでしょうか?。最新の免疫抑制剤下でのワクチン接種のデータを教えていただきたいです。

(患者・40代・成人T細胞白血病・福岡県)

A.

造血幹細胞移植後患者へのCOVID-19ワクチンの有効性については、海外から複数の報告が出ています。

どちらかというと免疫抑制剤を内服していない方を中心とした報告ですが、概ね70-80%の方で抗体が陽性化し、感染抑制および重症化抑制の効果があると考えられています。 一方肝臓移植や腎臓移植など、臓器移植後患者での検討では、免疫抑制剤を内服している方が対象となります。

セルセプトなどの代謝拮抗薬を併用している方では抗体陽性化率は低い(40%弱)ものの、カルシニューリン阻害剤の(ネオーラル、プログラフ)のみ内服している方では約60%の方が抗体陽性となっています。 これらはいずれも一般の方での抗体陽性化率(80-90%)と比べると低いですが、決して無効ではないと考えられます。

ここから先のデータはありませんが、さらに3回目のブースト接種まで受けることができれば、抗体陽性化率はさらに上昇すると見込まれます。 ただ一口に抗体陽性化といっても、それがどこまで感染や重症化を抑制するかは個々人で異なり、よく分かっていません。 また造血幹細胞移植の場合、移植片対宿主病(GVHD)を併発していれば免疫の不安定さゆえワクチンの有効性も低下すると見込まれます。 すなわち陽性化率を個々人で正確に予測することは困難です。 COVID-19の現在の流行状況に鑑み、ワクチン接種の副反応というリスクとCOVID-19感染予防というベネフィットを天秤にかけたとき、総合的には接種されることが推奨されます。

2022.2.4

Q103:造血幹細胞移植後10ヶ月経過し、先週まで免疫抑制剤シクロスポリンカプセル1日1錠服用、今週から免疫抑制剤中止になりました。コロナワクチン接種を考えていますが、移植後1年経過すれば免疫抑制剤中止後、間もなくても問題ありませんか。
30代・急性骨髄性白血病・佐賀県

Q.103

造血幹細胞移植後10ヶ月経過し、先週まで免疫抑制剤シクロスポリンカプセル1日1錠服用、今週から免疫抑制剤中止になりました。自宅療養中です。
コロナワクチン接種を考えていますが、移植後1年経過すれば免疫抑制剤中止後、間もなくても問題ありませんか。12月頃仕事(医療従事者です)復帰予定です。
インフルエンザ、肺炎球菌ワクチンは
期間をあけずに打っていって問題ないでしょうか。

(患者・30代・急性骨髄性白血病・佐賀県)

A.

ご質問いただきありがとうございます。
同種造血幹細胞移植後の新型コロナワクチンの接種については、
一般的に不活化ワクチンと同様の接種基準が推奨されています。
つまり、「移植後6~12か月を経過して慢性GVHDの増悪がないこと」となります。
ご質問者さんの場合は医療従事者であるため、 (業務内容次第ですが)
可能なら「復職時点で新型コロナワクチンの2回接種後2週間が経過していること」が望ましいと考えられます。

インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチンはいずれも不活化ワクチンですので、こちらも同様の基準で接種が可能です。
不活化ワクチン同士は一般に1週間程度間を開けて打つのがよいとされています。

新型コロナワクチンと不活化ワクチンの接種間隔については明確な答えが得られていませんが、
現時点では不活化ワクチン同士の場合と同様に1週間程度開けて打つのをおすすめしています。
いずれにせよ復職に向けて、主治医の先生とよくご相談いただき、綿密な接種スケジュールを組んでいただければと思います。

2021.9.27

Q93:新型コロナワクチン接種とCT検査が重なりそうです。CT検査を延期した方がよいでしょうか。

Q.93

悪性リンパ腫の治療後4年経過中です。経過は順調です。近くCTの画像検査を控えています。新型コロナワクチン接種と重なることが予想されます。CT検査を延期した方がよいでしょうか。(がん患者)

A.

CT検査を受けた直後にコロナワクチン接種を受けることは問題ありません。コロナワクチン接種のあとは、副反応で熱が出たり具合が悪くなったりする可能性があり、そうなると、病院の方針で、数日間は通常通りの検査や受診ができなってしまいますので、CT検査が予定されていて、ワクチン接種日を選べるのであれば、CT検査日前の数日間はワクチン接種を避けるか、ワクチン接種を優先するのであれば、CT検査日を変更することを相談するのがよいと思います。

オンライン市民公開講座「コロナ禍における上手な医療のかかり方」Q&Aより
2021.7.18

Q82:10年程前までLCH (ランゲルハンス)で治療していましたが、コロナワクチンを打っても大丈夫でしょうか。
30代・LCH・福岡県

Q.82

10年程前までLCH (ランゲルハンス細胞組織球症)で治療していました。コロナワクチンを打っても大丈夫でしょうか。

(患者・30代・LCH・福岡県)

A.

ワクチンを受けてよいです。
LCHに対しては化学療法やステロイド薬が用いられます。
これらの薬剤を終了して6ヶ月以上たっていれば、免疫能の問題はありません。

2021.9.16

Q81:海外で3回目接種後で同類疾患での中和抗体調査に関するエビデンスなどはありますでしょうか。
40代・悪性リンパ腫・大阪府

Q.81

WM(*注1)患者で分子標的薬にて治療中です。現在は体調に大きな問題はありません。 モデルナ2回目を接種し4週間後に自費で中和抗体検査を行いました。 基準値<50に対し78AU/mLで陽性ですが、健常者なら数百~数千の中和抗体があるとのことでブレークスルー感染(*注2)により重症化しないか心配です。 それと今後3回目のブースター接種(*注3)が国で計画されていますが、それを接種しても抗体価が十分に上がるかどうか心配です。まだ時期早々かもしれませんが、海外で3回目接種後で同類疾患での中和抗体調査に関するエビデンスなどはありますでしょうか。

(患者・40代・悪性リンパ腫・大阪府)

【注記】 (注1) WM:原発性マクログロブリン血症。  (注2) ブレークスルー感染:ワクチンをした後でも感染すること。 ワクチンがその目的とする病原体に対する免疫を提供出来ない場合に発生する。 (注3) ブースター接種:ワクチン接種の効果を高めるため、2回目、3回目のワクチン接種を行うこと。

A.

3回目のワクチン接種はイスラエルなどで始まっていますが、今のところ、これによって血液がんの患者さんで中和抗体価が上がるかをみた研究の報告は調べた限りありませんでした。中和抗体価があまり上がっていないということで、ご心配はあると思いますが、WMに対する治療効果や、他の治療選択肢でも同様(またはそれ以上)の影響があることを踏まえた上で、治療継続をお勧めしていることが多いです。

2021.9.8

Q80:コロナワクチンを打つことでcar-t細胞へ何か悪影響が出る事はないでしょうか。
50代・悪性リンパ腫

Q.80
昨年末にcar-t細胞療法を受けました。 現在も血液検査ではB細胞の値が低いので抗体がつくかはわからないと言われています。 また、コロナワクチンを打つ事でcar-t細胞へ何か悪影響が出る事はないのかが一番不安です。 現在体調は問題なく元気なのですが、ワクチンは接種した方が良いでしょうか。
(患者・50代・悪性リンパ腫)

A.
CAR-T細胞療法後の患者さんに対する新型コロナウイルスワクチンの有効性・安全性についてのデータは乏しいのが実情です。が、例えば米国血液学会では、CAR-T細胞療法後の患者さんは、優先してワクチンを受けることを推奨しています。 リンパ腫に対するCAR-T細胞療法では、正常のB細胞が減少するので、ワクチンによって通常なら作られる抗体が作られにくいということが新型コロナウイルスワクチンについても分かっています。

ただし、抗体が作られにくい状況でもワクチンによりT細胞を介した新型コロナウイルスに対する反応が強化されることが少なくとも一部のワクチンでは知られているようです。

ワクチンを打つことにより、CAR-T細胞の働きが低下したり、CAR-T細胞療法の副作用が増えることは特に報告されていませんし、CAR-T細胞療法後の患者さんでワクチンの副反応が強くでやすいということも報告されていません。 CAR-T細胞療法後の方は、一般的に免疫低下があり、新型コロナウイルスにかかった場合には重症化のリスクがありますので、これまで知られていることから考えると、ワクチンを打った方がよいと考えます。

2021.8.19

Q73: 家族が白血病でビダーザ治療をしていますが、コロナワクチンを受けても大丈夫ですか。
70代・白血病

Q.73
家族が白血病でビダーザ治療をしていますが、コロナワクチンを接種して大丈夫でしょうか。
(患者家族・70代・白血病)

A.
わが国のCovid19に対するワクチン接種優先接種者には基礎疾患として、鉄欠 乏性貧血を除く血液疾患、治療中の悪性腫瘍を含む免疫機能が低下する疾患、ステロイド など、免疫の機能を低下させる治療を受けていることが含まれております。

シクロスポリンやタクロリムスなどの免疫抑制療法を受けている場合には、投与終了後3カ月以上経過するまでCOVID-19ワクチン接種を延期した方が良いとも考えられますが、これは免疫が最も抑制されている時期にワクチンを接種してもあまり効果が得られないというデータに基づいています。

一方、ワクチン接種を遅らせることは免疫獲得が遅れることになります。
アザシチジン(ビダーザ)投与中の患者さんに対するワクチンの効果に関しての報告は乏しく、どの時期に接種すべきかについては不明な部分が多いと思います。

ビターザを一時的に中止することができるくらいに病状が安定している場合には、中断後ワクチン接種に臨んでも良いかと思いますが、ビターザ中止により白血病が増悪する可能性があるのであれば治療続行が優先されるかもしれません。

現在の御病状に関して主治医の先生によく相談されてからCovid19ワクチンの接種時期をお決めになればよろしいかと存じます。

2021.4.21

Q70: B細胞性のリンパ腫患者です。ワクチン接種しても抗体ができない可能性がある場合でも接種した方がいいのでしょうか。
50代・濾胞性リンパ腫・静岡県

Q:70
B細胞性のリンパ腫患者の場合、covid-19 のワクチン接種しても抗体ができない可能性があるという研究結果がイギリス、フランスで報告されました。ワクチンは接種した方がいいのでしょうか。
(患者・50代・濾胞性リンパ腫・静岡県)

A:
確かにB細胞リンパ腫の患者さんで、リツキシマブやオビヌツズマブなどの抗CD20抗体を含む治療を行っていると、ワクチンを接種しても、抗体価が上がりにくい、または上がらないという懸念があります。
新型コロナウイルスの場合、ワクチンを接種した際に、抗体価を確認する検査は通常行わないので、実際にこれを確認することはできないのですが、インフルエンザなど他の感染症に対するワクチンではそのようなことが研究で確認されています。

ただ、ワクチンの効果は抗体価が上がる(B細胞に対する効果)だけではなくT細胞に対する効果もあるといわれており、それには抗CD20抗体の影響は少ないと考えられています。
また、抗CD20抗体を含むリンパ腫に対する治療を行った方で、ワクチンの副反応が強くでるといったことはいわれていません。
ワクチンによって新型コロナウイルス感染症にかかったとしても発症しなかったり、重症化しなかったりということが期待されているので、抗CD20抗体を使った治療を受けた方でもワクチン接種を受ける意義はあると思います。

2021.3.22

Q68: GVHDが継続してあり、10年間、プレドニン、 バクタ内服しています。 ワクチン接種に問題はないでしょうか。医療従事者です。
50代・B細胞性急性リンパ性白血病 ph +ALL・兵庫県

Q68:先日お問い合わせ致しましたところ、回答では問題ないとのことでしたが、GVHDが継続してありまして、10年間、プレドニン、バクタ内服しています。ワクチン接種に問題はないでしょうか。医療従事者です。
50代・B細胞性急性リンパ性白血病 ph +ALL・兵庫県

A:
10年前の移植で今もプレドニン内服とはかなりしつこい慢性GVHDですね。
プレドニンの内服量にもよりますが、今まで、プレベナーまたはニューモバックス、アクトヒブ、テトラビックなどの不活化ワクチン、水痘、麻疹、風疹、ムンプスなどの生ワクチン、季節性インフルエンザワクチンなどは移植後に受けていませんか?
通常、移植後1年以降で免疫抑制剤中止後、あるいはCD4陽性Tリンパ球数>200μLであれば、最近は上記のワクチン接種(生ワクチンは抗体価が低いときのみ)が推奨されています。

もしこれらのワクチンを打っていないのなら、CD4陽性Tリンパ球数が慢性GVHDの治療により抑えられている可能性があります。

かりにCD4陽性Tリンパ球数が<200/μLであっても、ワクチンの効果が乏しいというだけでワクチンを打っていけないということではありません。
現在の新型コロナウイルスワクチンはコロナウイルスが人間に感染するときに用いているウイルス突起と同じ蛋白を体内で作らせるmRNAという遺伝子をワクチンとして用いています。
この蛋白を作る過程は慢性GVHDが続いていてもプレドニンを飲んでいても全く影響なく作れると思いますが、それに対する免疫(抗体)を作る力が、もしかしたら弱くて、あまりコロナ感染を有効に阻止できるほどの抗体が作られない可能性はあります。
あくまでも効果の問題で、副反応の頻度や程度は健常人と同等であろうと思われます。過去のワクチン接種時にアナフィラキシーという強いアレルギー反応が出た既往がある場合だけは要注意(というか打たないほうが良いでしょう)です。

バクタを服用している理由はおそらくニューモシスチス・カリニ肺炎の予防目的でしょうから、それなりに今もある程度免疫抑制が続いているという主治医の判断があると思いますが、バクタの服用自体はワクチンの可否には影響しません。

ただ、プレドニンの量とその必要性、今の慢性GVHDの活動性(活動性が強ければ、ワクチンのアレルギー的な副反応が強く出る可能性は否定できません)など、主治医しかわからない点が多いので、今、薬を処方してもらっている主治医によくご相談ください。

2021.2.25

Q67:医療従事者です。移植から10年目ですが、ワクチン接種をして大丈夫でしょうか。
50代・B細胞性急性リンパ性白血病 ph +ALL・兵庫県

Q67:医療従事者です。移植から10年目ですが、ワクチン接種をして大丈夫でしょうか。
50代・B細胞性急性リンパ性白血病 ph +ALL・兵庫県

A:
移植して10年目ということは、慢性GVHDが持続していない限り、もう免疫抑制剤もずいぶん前に中止されているでしょうし、原病の再発リスクも極めて低いと思います。
さらに医療従事者ですか。頑張られていますね。

おそらく、新型コロナウイルス感染症に対する重症化高リスクには該当しませんが、医療従事者という点が感染高リスクかと思われます。
医療従事者は一般の方々の前(2月中旬~3月)に新型コロナウイルスワクチンの接種希望調査があると思われます。おそらくファイザー社(もしくはモデルナ社)のワクチンです。

CDC*の情報によると1回の接種で50%以上、2回の接種で95%以上の方に、少なくとも数ヶ月は重症化防止効果が期待されています。感染防止の点でも、ほとんど無症候性感染で収まると考えられており、後に述べる副作用のリスクよりは、有症候感染及び重症化の防止の利益の方が大きく上回ると考えられています。
*疾病対策予防センター:Centers for Disease Control and Prevention:CDC

国内も治験結果の解析が週明けにも行われ、すぐに医療従事者から接種が開始されると思います。

基本的には副作用の頻度は少なく、インフルエンザワクチン < 新型コロナウイルスワクチン < ペニシリンと言われています。
その多くは注射部位の発赤・腫脹・疼痛、発熱、倦怠感などで、2回目の接種で多いとされています。重篤な副作用はアナフィラキシーというアレルギー反応ですが、極めてまれで、ほとんどは注射後15-30分以内に発症します。

接種機関ではおそらく接種後15分の経過観察を行うと思いますが、それはこのアナフィラキシーに適切に対処するためです。
ですから、過去に何らかの薬や食べ物でアレルギーが出た既往などを問診時に伝えていただいた上で、接種可能と判断された場合は積極的に接種いただいた方がよいと思います。

2021.2.3

Q48:骨髄移植後3年経過。コロナにかかった場合、健康な方と症状はちがいますか。
20代・患者・急性リンパ性白血病

Q48:骨髄移植後3年経過しました。血液検査でも免疫力は十分にあることがわかっています。免疫抑制剤は週1回プログラフ0.2mg、2ヶ月に1回レミケード点滴(クローン病治療のため)です。この条件の人がコロナにかかった場合、どのくらいの確率で重症化するのか、もしくは20代の健康な方とほぼ同じ症状がでるのか知りたいです。仕事で毎日外出している主人がいるので、私も健康な方と症状がほぼ変わらないと分かると安心できます。よろしくお願いいたします。
20代・急性リンパ性白血病

A:
造血幹細胞移植を受けられた患者さんは感染症に対するB細胞による抗体の産生やT細胞による細胞性免疫が移植前の治療や移植後に投与されている免疫抑制剤によって低下していることが多いです。
そのため新型コロナウイルスに感染した場合に重症化する可能性はあります。

しかしながら移植を受けた患者さんに関しての感染症の頻度、重症度に関する報告は欧米を含めて極めて少ないのが現状です。
良いように考えれば、現実的には移植後の方が新型コロナ感染症に特別多く罹患したり、重症化していないのかもしれませんが、今後の報告を確認していく必要があります。

感染予防としては、手洗いを頻回に行い、不特定多数の多くの人が集まる場所に長時間止まるのは可能な限り避けていただき、身近な方が感染あるいは濃厚接触した場合には、PCR検査を含めてかかりつけの先生に、慎重に経過観察していただくのがよろしいかと思います。

2020.09.2up

Q32:PCR検査せずに移植をしても大丈夫でしょうか
60代・多発性骨髄腫・東京都

Q32:昨年末より抗がん剤治療を始め、今月末より自家移植のため入院をしますが、その際コロナのPCR検査は行わないと主治医から言われました。現在の制度では、移植治療前でも症状がなければ検査はできないとの説明でしたが心配です。PCR検査をせずに移植をうけても大丈夫なのでしょうか。
60代・多発性骨髄腫・東京都

A:
自家移植を目前に控えご心配のことと思います。結論からいうとPCR検査は必ずしも必要ないと考えられます。PCR検査にはこれまでの報告から約30%程度の偽陰性(すなわち、検査は陰性だったがCOVID-19に感染している)が起こり得ると言われています。PCR検査を行ったから安心とは言い切れません。
また患者さんがご心配されているのと同様に、医療機関でもCOVID-19に感染した患者さんが入院して治療を受けるにあたっては、他の患者さんへの影響も考慮して細心の注意を払っています。具体的には、入院する前1−2週間の体調や身の回りに発熱や呼吸器症状のある方がいらっしゃらなかったかなどの問診、入院する前(もしくは入院直後)の血液検査や胸部レントゲン、CT検査などによって限りなくCOVID-19感染の可能性が低いことを確認してから治療に進みます。
病状が安定しており、自家移植を何ヶ月か待てる場合には待つという選択肢もあるかもしれません。ただし、どのような状況になったら自家移植が可能になるという基準も現時点で明確なものはないため、担当の先生との相談が必要となります。
2020.05.13up

Q22:COVID-19かもしれない場合、通院している病院への移動方法を教えてください
40代・多発性骨髄腫・茨城県

Q22:2週間に一度、都内の病院で抗がん剤治療を受けています。住まいは北関東です。COVID-19かもしれない場合は保健所に電話して、病院にも電話をしますが、もし治療している都内の病院へ入院となった場合、どのような方法で移動すればいいのでしょうか。自分では都内まで運転できません。
40代・多発性骨髄腫・茨城県

A:
遠方の患者さんは市役所か保健所に聞いて最寄りの感染指定病院に連絡し、症状等を述べ指示に従ってください。自家用車で行くのがベストですが、無理ならマスク着用で公共交通機関を利用するのが良いでしょう。

2020.05.02up

Q18:どの程度体調が悪ければ予約外でも病院に行くほうがいいのでしょうか
40代・慢性リンパ性白血病・東京都

Q18:病院へ行くのも新型コロナウイルス感染のリスクがあると思います。熱が無い場合、どの程度体調が悪ければ、予約外でもかかりつけの病院に行くほうがいいのでしょうか。医療機関にも、主治医にもなるべく迷惑はかけたくないのですが、放置して悪化するのも心配なので教えてください。
40代・慢性リンパ性白血病・東京都

A:
慢性リンパ性白血病といっても、無治療経過観察中、治療後の経過観察中、(イブルチニブなどの)治療中か、状態によって違うと思います。ただ、一般的に新型コロナウイルス感染症の流行がみられてるからといって、ふだんより早めのタイミングで診察を受けた方がよいということはないと思います。逆に、外出をしたり病院に行くことは心配だったり、医療機関に負担をかけてはいけないと遠慮があるかもしれませんが、そのことで受診を控えることは考えない方がよいでしょう。人は普段から頭痛、下痢・・などさまざまな症状が時々あると思いますが、まずはふだんと同様に対処することをお勧めします。新型コロナウイルス感染症の心配という点では、発熱がなくても、咳や息切れなどの呼吸器症状があったり、倦怠感が強い場合にはかかりつけの医療機関に相談してみるのがよいでしょう。

2020.05.04up

Q17:免疫抑制剤を使用している患者の治療データはありますか
20代・Ph+ALL・岐阜県

Q17:約3年前に骨髄移植をし、現在は免疫抑制剤とステロイドを服用しています。免疫抑制剤を使用している患者のCOVID-19の治療データはありますでしょうか。もし私が今感染した場合、第1選択となる治療があれば教えてください。
20代・Ph+ALL・岐阜県

A:
免疫抑制剤使用患者さんでのCOVID-19治療データは恐らくまとまったものはないと思います。多数例治療している病院の先生が感覚的にご存知かもしれませんが。基本的には酸素投与、重症化したらステロイドなどの対症療法になると思います。罹らないこと、罹ったかなと思った時に担当医に相談することだと思います。

Q12:ワクチンが開発されたら、抗がん剤を使用している患者にも効果はあるのでしょうか
50代・多発性骨髄腫・神奈川県

Q12:COVID-19に対するワクチンが開発された場合、多発性骨髄腫の治療で抗がん剤を使用している患者に効果はあるのでしょうか。その場合、副作用が心配です。また、抗がん剤の新薬を試す場合には入院が必要になりますが、COVID-19が収まるまで止めた方が良いでしょうか。
50代・多発性骨髄腫・神奈川県

A:
COVID-19に対するワクチンは未だ開発されていませんので、現時点で 多発性骨髄腫の治療で抗がん剤を使用している患者さんに効果があるかはわかりません。ただ、一般論として多発性骨髄腫そのものの影響や薬剤の影響で免疫機能が落ちて、普通の方よりもワクチンの効果が落ちる可能性はあります。多発性骨髄腫の治療で抗がん剤を使用している患者さんでも、ワクチンが開発されれば投与するべきだと思います。但し、病原体を弱毒化して投与する生ワクチンは除きます。抗がん剤の新薬を試す場合の入院に関しては、施設によって対応が異なりますので、主治医の先生とよくご相談ください。

2020.05.02up

Q3:家族がCOVID-19陽性疑いで自宅待機中、どのような注意が必要ですか
60代・多発性骨髄腫・愛知県

Q3:家族がCOVID-19の疑い(濃厚接触者)の時、あるいは陽性で自宅待機の際には、どのような対応をすればよいでしょうか。また、家族にがん患者がいることで、優先的に入院させてもらうことは可能でしょうか。
60代・多発性骨髄腫・愛知県

A:
ご家族がCOVID-19の疑いがある(濃厚接触者)の場合は、確定するまでの間、部屋を別にしてタオルや食器も別扱いする必要があります。家族が陽性の場合は、指定のホテルで滞在することになります。
一般的に骨髄腫の患者さんは、細菌感染やカリニ肺炎等は多いですが、インフルエンザ等の感染症に対する抵抗力は通常の方と大きな隔たりはありません。あまり心配しすぎないで、人込みを避けた時間帯での散歩や、テレビ体操、ぬるめのお湯でゆっくり入浴等をお勧めいたします。少量(日本酒で1合ぐらいまで)のアルコールもOKです。心配しすぎるとNK細胞が減少しますから。

Q2:熱が出たら、すぐに主治医へ連絡したほうが良いでしょうか
60代・多発性骨髄腫・愛知県

Q2:もし自宅で熱が出たら、すぐに主治医へ連絡したほうが良いのでしょうか。少し様子を見てもよいとしたら、何日くらい待ってから連絡をしたらいいのか教えてください。
60代・多発性骨髄腫・愛知県

A:
37.5度以上の発熱が2日間ある場合は、必ず主治医に連絡してください。最近の新規薬剤は効果がありますが、COVID-19だけでなく肺炎等の感染症の合併が10~30%ほど起こることがあります。数日分の入院セットを入れたバッグを玄関先に置いておく準備をしておくと安心です。朝夕の検温を実施してください。

2020.05.01up

Q1:化学療法室における抗体薬点滴中の感染管理について教えてください
60代・多発性骨髄腫・愛知県

Q1:維持療法中で化学療法室にて抗体薬を点滴します。長時間、隣のベッドとも近く、マスクをしていない患者さんもいて、とても心配です。60代・多発性骨髄腫・愛知県

A:
点滴は半日ほど時間が掛かる場合がありますが、目安として 1 メートル以内であれば仕切りとマスクは常識です。院内では必ずマスク着用を求めましょう。
※参考:国立感染症研究所感染症疫学センター
https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/corona/2019nCoV-02-200420.pdf
2020.05.01up