メディアとセックス

情報リテラシーを持とう

メディアでは、毎日のように、さまざまなセックスの方法やノウハウに関する情報が発信されています。その中には、セクシュアリティに関する人権や科学に基づかない、適切ではない情報も含まれています。特に、アダルトビデオは、見るのは自由としても、現実とは異なるセックスを誇張している商品であることを認識しながら見るようにしましょう。

不妊治療を行う生殖医療医の間では、アダルトビデオを見過ぎて過度な興奮がないと腟内に射精ができなくなったり、床に強くこすりつけるようなマスターベーションでしか射精できなくなったりしている男性が増えていることが問題になっています。現実的には、多くの人にとってセックスの経験はそう多いものでもなければバラエティに富んでいるわけでもありません。例えば、セックスにおいては男性がリードしなくてはならないというようなメディアによる刷り込みが、がんの治療で性欲低下や勃起障害を生じた男性の悩みを深刻化させる可能性もあります。性交痛を感じている女性が多いことや痛みに耐えながらセックスを継続している女性が多いことにまで想像が及ばないのは、ある意味、メディアによる刷り込みが一因かもしれません。

メディアの情報がすべて正しいとは限りません。インターネット上の情報も玉石混交で、誤った情報が発信されていたり、広告サイトに誘導されてしまったりする場合があります。がんに関しては、国立がん研究センターの「がん情報サービス」が「がんやがんの治療による性生活への影響」の情報を発信しています。キャンサーネットジャパンのこのサイトの情報もぜひ、参考にしてください。ただ、病気の状況やパートナーとの関係性などによっても悩みや解決策は異なります。性にまつわる不安や悩みがあるときには、担当医や身近な看護師などに相談してみましょう。

ネガティブな情報からは距離を置こう

同じような経験を持つがん患者の体験談も情報源として役に立つことがあります。具体的で、共感できる実用的な情報も少なくないでしょう。一方で、同じがん患者といってもそれぞれが置かれた状況や価値観はさまざまですし、経験は個々のものです。体験談に限らず、メディアなどからの情報の中で、自分が違和感を抱く情報、ネガティブなものを運んでくる情報からは距離を置くことも大切です。

参考サイト

国立がん研究センター・がん情報サービス「がんやがんの治療による性生活への影響」