がん治療中・治療後の恋愛

がんの治療中や治療後も、病気でなかったときと同じように、人を好きになり、恋愛をするのは自然なことです。パートナーや思いを寄せる相手の存在が支えになり、つらい治療が乗り越えられたという人もいます。時には、パートナーと分かり合えなかったり、別れてしまったりということもあるかもしれません。

AYA世代のがん患者の恋愛に関してよく話題になるのは、新たな恋愛をスタートするときに、付き合う前に、がんのことを伝えるかどうかという問題です。病気のことを考えると、好きな人がいても、新たな恋愛を始めたり恋愛を楽しんだりすることに消極的になってしまうという人もいます。

恋愛のステップに正解はありませんが、自分ががんに罹患したことがあること、あるいは、がんの治療中であることは、ある程度信頼関係を築けたと思ってから、伝える人が多いようです。病気のことだけではなく、家庭の事情などがあるときにも、恋愛相手との関係がある程度深まってから、「この人なら理解してくれる」「この人には伝えておきたい」などと思ったときに伝える人が多いのではないでしょうか。

ただ、AYA世代の患者やサバイバーの中には、「深い関係になってから打ち明けてふられたら余計に傷つくから、正式に付き合う前にがんの罹患になった経験を話す」という人もいます。がんの治療のために手足の一部を切断したり外見的に分かる後遺症があったりする人は、出会ったときに病気の経験を説明せざるを得ないかもしれません。好きな人や周囲の人に病気のことをどう伝えるかは、あらかじめ伝える内容を準備しているという人もいます。

病気になる前もなった後も、恋愛へのアプローチの仕方や展開は人それぞれです。がんの体験を話したことで絆が強まるカップルもあれば、逆に距離を置かれる人もいるかもしれません。性機能障害や妊孕性の低下が、恋愛や結婚の障壁になる場合があるのも事実です。つらいときには、患者会やサポートグループの力を借りるなど気持ちを分かち合える仲間を見つけると、気持ちが楽になることがあります。