同性のパートナーの面会、同意書へのサインについて

医療機関では、同性のパートナーが、患者の病状の説明を受けたり、入院や手術の同意書にサインしたりすることが一般的になっているとは言い難い面があります。同性のパートナーへの病状説明などを希望する場合には、担当医や看護師、ソーシャルワーカーなどにその希望を伝えましょう。対応は医療機関によって異なる可能性がありますが、病状の説明の付き添い、同意書へのサインは戸籍上の家族である必要はなく、同性のパートナーや友人でも可能です。医療機関の多くは、病状説明の付き添いや同意書のサインを身内にしてもらうように促しますが、身寄りのない人や家族と疎遠である人もいるため、柔軟な対応を取るところが増えています。不本意だとは思いますが、これまでの対応から偏見が強そうな医療機関だと思われる場合には、友人として付き添いや同意書へのサインをすることを申し出る手もあります。

ただ、患者本人の意識がなくなったときに、同性のパートナーが面会したり、どこまで治療を続けるかなどの判断する患者の代弁者として認められたりするかどうかは、医療機関によって対応が異なる可能性があります。患者本人が血縁のある家族に同性パートナーがいることをカミングアウトしていなかったり、そのことでもめたりしていて、緊急時にパートナーには連絡が行かない場合もあるかもしれません。そういったことを回避するためには、事前に、医療の同意権を同性パートナーに委任する「医療同意契約書」「パートナーシップ契約書」などを作成しておくとよいでしょう。

東京都渋谷区とNPO法人虹色ダイバーシティが定期的に実施している調査(※2)によれば、2022年12月31日現在、全国の240自治体(人口カバー率55.3%)が、同性カップルを「婚姻に準ずる関係」と認めるパートナーシップ制度を導入し、「パートナーシップ証明書」を発行しています。青森県、秋田県、茨城県、福岡県など、県単位でパートナーシップ制度を導入している自治体もあります。パートナーシップ制度は法律上の婚姻関係を認めるものではありませんが、その証明書があれば、医療機関で、同性パートナーが法律上の配偶者と同じように扱われる可能性が高まります。また、急変時、事故などに備えて、「緊急連絡先及び医療情報提供カード」 にパートナーの連絡先を書いて、携帯しておいてもよいでしょう。

一方、現在のパートナーに財産の管理や相続を希望する場合には、自分自身の判断能力が衰えたときに備えて、あらかじめ現在のパートナーを任意後見人として選び、「任意後見契約」 を結んでおく必要があります。

参考文献・参考サイト

東京都渋谷区ジェンダー平等に対する取り組み/全国パートナーシップ制度共同調査 
「緊急連絡先及び医療情報提供カード」
任意後見制度とは

 

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