LGBTQ+/SOGIEとがん~サポートする医療従事者の皆さんへ

がんの診断、治療でLGBTQ+/SOGIEが問題になるのは、当事者の人たちが、偏見や差別のために、医療サービスへのアクセスが遅れたり拒否したりしやすい傾向があるからです。LGBTQ+の当事者は、偏見や就職差別などのために、、不安障害やうつ病などを抱えている場合もあります。

LGBTQ+、特にトランスジェンダーの当事者の中には、医療機関を受診するときに執拗に性別を確認されたり、外見と戸籍上の名前にギャップがあるために戸籍上のフルネームで呼ばれたりすることに苦痛を感じる人もいます。

GID(性同一性障害(現在は、性別不合(GI))/GD(性別違和)/トランスジェンダーの当事者約500人を対象に2020年に実施されたWEBアンケート調査では、回答者(有効回答数484件)の48.1%が、「風邪、けが、体調不良時に医療機関の受診をためらったことがある」と回答しています。また、「健康診断で不快な思いをしたことがある」人は37.0%、「医療機関の受診時に嫌な体験をしたことがある」人は49.6%、「入院時に嫌な体験をしたことがある」人も13.2%に上りました。入院時に嫌な体験をしたことがある人が少ないように見えるのは、「入院したことがない」と答えた人が45.7%だったからで、入院時に配慮が行き届いているからではないことには留意が必要です。

この調査によると、当事者の半数以上は、「問診票に男女のみならず、その他も入れてほしい」(53.1%)、「性別を何度も確認しないでほしい」(51.7%)と、性別の取り扱いに慎重な姿勢を求めています。また、「フルネームで呼ばないでほしい」(44.4%)、「じろじろ見ないでほしい」(35.7%)、「呼ばれたい名前に配慮してほしい」(32.4%)、「どのように呼ばれたいか聞いてほしい」(31.4%)と、医療機関での呼ばれ方、見られ方への配慮を必要としていました。
「その他」には、「整理番号などで読んでほしい」「トランスジェンダー、トランスセクシャルの存在を知ってほしい」「領収書等から性別を削除してほしい」「本人確認は一度にしてほしい」「性にあまり固執しないでほしい」などの回答がありました。

(「GID/GD/トランスジェンダー当事者の医療アクセスの現状」(TRanS、名古屋市立大学大学院看護学研究科国際保健看護学発行)より)

参考文献・参考サイト

「GID/GD/トランスジェンダー当事者の医療アクセスの現状」(TRanS、名古屋市立大学大学院看護学研究科国際保健看護学発行)

 

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