がんサバイバーと里親制度、特別養子縁組の活用

がん治療後に養子縁組や里親制度を活用して、親になる方法もあります。養子縁組には、家庭裁判所の許可を得て縁組する「普通養子縁組」と、15歳未満の子を実子とする「特別養子縁組」があります。特別養子縁組は、子どもの福祉を優先し、生みの親との親子関係を解消し、戸籍上も法的にも実の子と同じ地位が与えられる制度です。予期せぬ妊娠などの事情で実の親が育てられないときに、生まれて間もない新生児を特別養子とするケースも少なくありません。

また、里親は、基本的には養子縁組はせずに、経済的な理由や虐待などによって実の親の元で暮らせない子どもを家庭で養育する制度です。実子と養子や里子を一緒に育てている家庭もあります。

特別養子縁組や里親になるためには、一般的に、婚姻関係にある夫婦であることが条件になります。特別養子縁組は、子どもの福祉のための制度であり、子育てには体力が必要であることから、親と子どもの年齢差を設定しているあっせん団体や自治体もあるので年齢制限の有無も確認しましょう。

また、がんサバイバーが養親、里親になるにあたっては、健康状態や再発リスクをどう評価するかが問題となることがあります。とはいえ、がんを経験しているからといって、里親や養親になれないわけではありません。埼玉県里親会の会員375組を対象に2019年に実施された調査結果では、回答者(205組)のうち12組(5.9%)が、里親・養親になる前に両親のどちらかががんを経験していたと報告されています。

里親になるためには最寄りの児童相談所に申請し、所定の研修を受ける必要があります。全国どこからでも、☎0570-064-000へ電話すれば、最寄りの児童相談所につながります。特別養子縁組を考えている場合には、児童相談所や最寄りの養子縁組あっせん団体に相談してみましょう。

労働省・特別養子縁組について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000169158.html
子どもを育てたいと願う人へ(特別養子縁組特設サイト)
https://telling.asahi.com/telling/extra/tokubetsuyoshiengumi/index.html
公益財団法人全国会・里親とは
https://www.zensato.or.jp/know/seido