乳がん治療と子育て、夫婦生活への思い 大切なのは「信頼関係」

35歳時、乳がんに罹患した女性(43歳)に話を聞きました。

夫婦生活への思いは「バランスがとれていた」

私の場合、治療と子育てが重なってしまいました。手術後、しかも抗がん剤治療を受けながらの赤ちゃんのお世話は、それだけで精一杯。当時、夫も私も夫婦生活は頭にありませんでした。
それに治療中は、自分の体に何となく自信が持てずにいました。抗がん剤の影響で全身がむくんでいたのと、産後でお腹周りのたるみもあって……。夫は気にしないようでしたが、私は見せたくありませんでした。
夫は、性に関してとても淡白なんです。私よりもセックスをしたがらないくらい。「ほうっておかれると夫が欲求不満になってしまう」という話を聞きますが、私たちはうまくバランスが取れていました。そのおかげでケンカや離婚にならなかったのは、よかったですね。

流産や性の相談ができる医師との出会い

治療から2年くらいが経ったころ、医師から、第2子をつくることのOKが出ました。その後、2回妊娠し、2度とも流産。ショックが大きく、しばらく立ち直れないほどでした。流産が、がんの治療と関係があるかどうかは、医師も分からないそうです。
ありがたかったのは、悩みに共感し、アドバイスをくれる医師と出会えたこと。性の相談なども、ざっくばらんにできました。同年代の女性医師で、話をしやすかったためかもしれません。

パートナーとの関係性は「大きな病気をしたときにわかる」

私は、がん治療をした女性の悩みを聴く機会がよくあるのですが、なかには「パートナーから、『女として見られなくなった』と言われた」という相談もあります。
お互いの関係性は、がんなどの大きな病気をしたときに、ハッキリとわかるものだと思います。そこでダメな人なら、さっさと別れた方がいい(笑)。がんに限らず、信頼関係は本当に大切だと感じています。

取材/文 木口マリ