白血病治療の後遺症で粘膜障害に? ~ 20代で恋愛が億劫に~
19歳時、急性骨髄性白血病に罹患した女性(31歳)にお話を聞きました。
不安や違和感で、恋愛が億劫に
現在は、治療の影響で閉経した状態になっています。そのための粘膜障害なのか、セックスのときは擦れて痛みや違和感を感じます。それに、骨髄移植による免疫力の低下が気になり、「感染症などにかからないだろうか」という不安もあって……。
私が白血病と診断されたのは、大学2年生のとき。そのくらいの年齢の男性は、セックスをしたい気持ちも強いだろうし、しないでいると仲を深められない気もしました。
治療後は3人くらいとお付き合いしたのですが、いずれも長続きしませんでした。前向きに付き合えないんですよね。次第に楽しめなくなり、恋愛も億劫になってしまいました。
お互いに理解し合い、セックスをしなくても仲よく付き合っているカップルがいることは知っています。「でも、それは寂しいような……」という思いもあるんです。自分のなかで、いろいろな矛盾が生じています。
主治医には相談しづらく、同年代の仲間もおらず
主治医からは、「感染リスクを避けるために、一定期間、性生活はひかえるように」という話があったくらい。いつから大丈夫なのかは聞かないと教えてくれませんし、粘膜障害の可能性などについての説明は、まったくありませんでした。
主治医は男性のため性の悩みを相談しづらく、身近に同年代の白血病患者もいなくて情報交換もできません。そうしているうちに、5年、10年と時間が経ってしまいました。
若年での罹患だと、それ以前の恋愛経験は少ないですし、本当に治療のせいで粘膜障害があるのか、もともとそうなのか、比べようがありません。今、すごく悩んでいるわけでもなく、自分が困っているのかどうかも、よくわからない状態です。
ただ、あまり情報交換ができないなかでも、骨髄バンクの方に相談にのってもらったことがあります。性の相談といっても、治療で失った妊よう性(子供を授かる能力)についてなのですが。
20歳で産めなくなってしまったのはとてもショックでしたが、今は、養子の迎え方の勉強をしています。でもこれも、「パートナーがいることが前提」なんですよね。
健康な人には知られていない「がん」と「性の問題」
白血病の場合は、目に見える傷があるわけでもありませんし、そもそも健康な人は「がん」と「性の問題」がつながっているなんて、想像もしていません。
病気経験を伝えると、体力がないことなどは気を遣ってくれます。だけど、「そのほかは健康な人と同じ」と思われてしまう。性のことを伝えるのに、もう一段階カミングアウトしないといけません。
私の年齢だと、周りは結婚や妊娠が増える時期。わかってはいたけれど、焦りもあります。
今後、いいパートナーを見つけたい気持ちもありますし、そういう意味では性の問題を解決したい。そのためにも、たくさんの患者仲間のお話を聞いてみたいですね。
取材/文 木口マリ