子宮頸がんのパートナー 〜セックスを求めてもいい?〜

子宮頸がん経験者(罹患41歳)のパートナー男性(58歳)に話しを聞きました。

セックスを求めることは、不謹慎?

パートナーと初めて出会ったのは、罹患から数年が経ったころでした。付き合う前から、がんで子宮の手術をしたことは知っていました。雑談のなかで「子宮がなくてもセックスはできる」という話を聞いて、「そうなんだ」と思いましたが、それ以上の詳しい話にはなりませんでした。

付き合うことになったときも、セックスありきとは考えていませんでした。子供を持つことを前提としていたら違っていたかもしれませんが、私もいい年だし、「一緒に楽しい時間を過ごせたら」という気持ちでいました。

実際にそのような場面になったとして、そもそも誘っていいものなのかという葛藤もありました。病気をした人に対してセックスを求めることが不謹慎というか、不快に思われるかもしれないな、と。
それ以前に、「子宮を取っても性欲があるものなのか?」など、いろいろと考えました。人によっては、物理的・心理的にできなかったり、医師に止められていたり、感染症を恐れていたりもあると思います。自分でも調べてみたのですが、ネット上にがん経験者の性に関する情報はほとんど見つかりませんでした。ブログに書かれていたとしても、それはその人個人のことですし。

しかし、パートナーと話をするうちに、病人として特別扱いされるのを望んでいないのが伝わってきました。そのとき思ったのは、「“病人だから”という考え方自体が、 “特別視”になってしまっているのでは?」ということです。

「手術の傷が開いたりしないのか?」などが心配に

その後、健康な人との付き合いと変わらずサラッと誘うことができたのですが、やはり心配はありました。最初に気になったのは、「もし、セックスのせいで体の具合が悪くなったらどうしよう」「腟の奥(子宮頸部)の傷が開いたり、痛くなったりしないのだろうか」。私は大きな病気も手術もしたことがないし、本当のところがどうなのか分からなくて。
でも、気にしすぎているのは、お互いにとって喜ばしくありません。聞いていいのかなと思いつつたずねてみると、彼女は包み隠さず話してくれました。「こういう体位は大丈夫なのか」なども聞いてみたり。前もって知っておくべきことは教えてもらってよかったです。

傷は思ったより大きくて、正直、初めて見たときは驚きました。「こんなに苦労した人と、こんなことをしてもいいのかな」とも思いました。でもそれも、すぐに慣れました(笑)。

お互い、気になっていることを隠したり、気を遣い合ったりしすぎない方がいいと思っています。できること、できないことを確かめていけるといいですね。病気かどうかに関わらず、誰でも最初はいろいろな不安があるし、付き合うなかでの問題も起こります。がんであることを特別に考えず、自然な形で話し合っていけたらいいのかなと思います。

取材/文 木口マリ