セックスへの不安
がんの治療はボディイメージの変化を含め、心身にさまざまな影響を及ぼします。
がんやがんの治療によって喪失、変化したからだを受け入れてもらえないのでは? 痛みがあるのでは? 筋力や体力が落ちていてセックスできないのでは? 手術の創痕はセックスをしても大丈夫? ストーマからセックスの最中にもれてしまったらどうしよう? セックスして感染しない?
セックスへの不安は尽きません。
勇気を出して、セックスを試みたものの、気持ちやからだが追い付かず、うまくいかないこともあるでしょう。セックスへのマイナスイメージだけが残ってしまい、次に踏み出せなくなってしまったというカップルもいるかもしれません。治療後何年も何十年もセックスが楽しめない、あるいはセックスレスになってしまったという声は少なくありません。
しかしながら、創痕をこすったり圧迫したりしないように配慮しながらするセックスは、相手のことをより理解しようという気持ちが深まり、よりよいセックスにつながるチャンスかもしれません。乳房の手術後は、パッドやお気に入りの下着、あるいはエピテーゼと呼ばれる人工乳房や乳首を付けたままセックスを楽しんでもよいと思います。勃起障害には、パートナーの思いを確認して、必要であれば治療やカウンセリングを受けるのもよいでしょう。ストーマが気になるようだったら、素敵な柄のカバーを付けたり、セックスの前にストーマをきれいにしておいたりすることで心配が少し減るかもしれません。ちょっとした工夫次第で、充実した性生活を取り戻すことは可能です。決して焦らず、ふたりのペースで、焦らず進めていくことが大切です。
また、治療の中には妊孕性を永久的に喪失するものもあります。セックスをするたびに子どもができないことを思い知らされて、悲しい思いがよみがえってしまうという患者さんの声もあります。セックスは妊娠・出産につながるものではありますが、そのためだけのものではありません。相手を近くに感じられることや大切に思えること。セックスは、パートナーとの大事なコミュニケーションのツールであり、楽しく豊かな人間の営みの一つです。無理をする必要もなければ、罪悪感を抱く必要もないのです。あなたが何を不安に感じているのか、不安を一つひとつ取り除き、あなたとパートナーの人生を豊かにするセックスを楽しみましょう。