大切な人に拒絶されてしまうかも?という不安と向き合う~患者編~

乳房や子宮などの臓器の喪失、勃起障害や射精障害などの性機能障害、脱毛・るい痩・浮腫・手術創・皮膚の変化といった外見の変化、身体的・精神的痛みや苦痛、家庭・職場・学校など患者さんを取り囲む環境の変化など、がんの治療はさまざまな側面からセクシュアリティに影響を及ぼします。そのことが自信の喪失を招き、パートナーシップにも変化をもたらすことは考えうることです。

男女を象徴するような臓器の喪失や性機能障害を生じたとき、セクシュアリティの喪失やそれに伴う自信の喪失だけでなく、「パートナーに受け入れてもらえないのではないか?」「自分からパートナーが離れていってしまったらどうしよう?」という不安を抱いてしまうのは、自然な感情です。「ありのままの自分を愛してほしい」という思いと「でもいまの私を愛してくれるかしら?」という思いの中で揺れ動くこともあるかもしれません。治療による心身双方への苦痛の中にあったり、ちょっとしたからだの異変や検査結果に落ち込んでいたりすることもあるでしょう。感染症のリスクも不安です。セックスに前向きな気持ちになれなかったり、パートナーの誘いを拒んでしまったりすることもある一方で、「拒んでしまったら、パートナーを失ってしまうかも?」と不安になってしまうことも考えられます。

相手に不安を伝えてみよう

不安は一人で悶々と抱えてしまえばしまうほど、雪玉のようにふくれあがっていきます。パートナーシップにとって大切なことは、相手をおいてけぼりにしないこと。健やかなるときだけでなく、悩めるときこそ、相手に思いを伝えることが解決の糸口になることはよくあることです。相手の思いを想像することは大事なことですが、ネガティブな感情が思い込みや勘違いを生んでしまうこともあります。自身が気にしている程、パートナーは気にしていないということもあるかもしれません。あるいは、パートナーもまた悶々と悩んでいたということもあるでしょう。

たとえば、勃起障害に悩む男性がいたとして、男性が思っている程、女性はペニス挿入を伴うセックスを必要としていないこともあります。一方で、ペニス挿入を伴うセックスがふたりにとって大切なものであるならば、主治医に勃起障害の治療を相談してみるというように、解決のための現実的なアクションにつなげられます。

まずは、不安や悩みをパートナーと語るところから、始めてみてはいかがでしょう?