勃起障害4-EDの治療
ED(勃起障害・勃起不全)の治療
PDE5阻害剤
手術にせよ、放射線にせよ、神経が残っていればPDE5阻害剤が有効です。神経が温存されていない場合、PDE5阻害剤を使っても勃起は起きませんが、神経が残っていれば、PDE5阻害剤である程度の勃起能回復が期待できます。PDE5阻害剤は6~7割の人に効く可能性が高く、ED治療の第一選択となっています。
PDE5阻害剤の中では、一般名「シルデナフィルクエン酸塩」がよく知られています。日本では、25mgと50mgの2種類が使用でき、後発品も出ていますが、正しい服用に配慮が必要な薬でもあります。初期失敗の多くは服薬指導が不十分な場合があり、服薬指導を再度行うことで、薬の効果が得られるようになることは少なくありません。シルデナフィルは服薬から1時間くらいで効いてきて、4~5時間継続します。つまり、朝飲んで夜にセックスをしようとしても効果は得難いものとなります。また、食事やアルコールによる影響を受けやすく、薬の吸収・効果発現の遅延につながることがあるため、空腹時に飲むことが推奨されます。*
加えて、アルコールで拡張期血圧低下が生じるデータが示唆されており、注意を要します。
シルデナフィルは一時期とても話題になった薬で、インターネット経由でも簡単に入手できますが、粗悪品も多く、死亡例もあるため、医療機関で適切な服薬指導のもと服薬することが大切です。硝酸剤あるいは一酸化窒素(NO)供与剤との併用は禁忌で、急激な低血圧をもたらすことがある点にも注意が必要です。たとえばニトログリセリンのテープを貼っている、あるいは胸痛時にニトログリセリンを使用するように処方されたときに、自分がシルデナフィルを飲んでいることを忘れていたなんてことになると大変です。
国内で処方が可能なPDE5阻害剤には、タダラフィルもあります。タダラフィルは食事の影響を受けず、アルコールの影響も受けません。服用すると1日半、大体35時間くらい効果が持続します。焦らない性交渉が謳い文句で、朝服用すると、翌日のお昼頃までどのタイミングでも性交渉時に効果を発揮します。タダラフィル20mgがシルデナフィル100mgに相当し、使い勝手もよい薬ですが、高価なところが難点です。
*ED診療ガイドライン 第3版(PDF)