治療後の性に悩む肺がん、そしてすべてのがんのサバイバーへ

肺がんは米国で2番目に多いがんです。早期発見や有効な治療により、治療後は日常生活に戻る人が沢山います。治療が終わり、化学療法で抜けた髪の毛が生え始めれば喜んで医師に報告する患者も、性欲が減退した、以前のような性生活が送れないといった、肺がんには直接関係ないことは言い出しにくいものです。生殖器にかかわるがんと違い、肺がん治療に関する情報には、性に関する問題が含まれていないことがほとんです。

そうした現状を懸念し、米国のNarjust Duma医師は、肺がん女性のセクシャルヘルス(性的健康)を評価する大規模研究をしています。研究によれば、息切れ、疲労、ボディイメージの問題、性欲(リビドー)の低下、および精神的な苦痛などが、肺がん患者の性的健康に影響を及ぼし、こうした性の問題の多くは治療が終了しても改善されないそうです。セクシャリティは人生や対人関係において重要な側面です。がんになったからといって、セクシャリティをあきらめる必要はないのです。

性生活の問題も医学的な症状だという認識で、医師に相談すべきでしょう。状況に応じて、理学療法士やカウンセラーなどの専門家も紹介してれるはずです。膣用潤滑剤、カウンセリング、エクササイズなどが有用だったり、性交時の体位を工夫することで息切れが緩和され、性生活が改善される人もいるそうです。性の問題はパートナーと一緒に取り組む必要があるかもしれません。またパートナーの有無にかかわらず、マスターベーションが性的健康の維持に必要という人もいます。

Duma医師は、がんと共に、またはがんを乗り越えて生きるサバイバーには、健康の重要な一面であるセクシャリティを保つためにも、医師に相談してほしいと言います。もし性的な問題で気にかかることがあるなら、勇気をだして、医師に次のような質問をしてみてはどうでしょうか。

  •  肺がん患者には性的健康上の問題がよくあると聞きましたが、そのことについて少しお話したいです。
  • この治療によって性的な影響を受ける可能性はありますか(新たな治療を始める前に)
  • 性欲が減退しているのですが、それについて相談できますか?
  • パートナーとの性的な関係を回復する方法について相談したいのですが。

参考リンク
肺がんサバイバーの性的健康 | 海外がん医療情報リファレンス (cancerit.jp)

 

翻訳・執筆 片瀬ケイ(一般社団法人 日本癌医療翻訳アソシエイツ:JAMT)