がんと共に生きること

ようやく治療を終えましたが、体調が悪く職場復帰できません。自分はもう社会に無用の人間のように思えます。

今や2人に1人ががんになる時代です。また医療の進歩により5年、10年と長期生存を果たしている患者さんも珍しくありません。ところが長期延命が果たされた一方、がん治療を終えた患者さんの生活を支える仕組み作りは十分ではありません。がん患者さんの就労問題は最たるものでしょう。行政、企業、医療者による取り組みが求められています。

一方、以前の職場に復帰できないまでも、身体に負担の少ない職場への転職、あるいは新たな趣味やボランティアに生きがいを見つけ、充実した日常生活を送っている患者さんも少なくありません。まずは自分の今の気持ちを誰かに聞いてもらいましょう。ご家族でも友人でも、医師や同じ体験を持つ仲間でもかまいません。周囲にサポートを求めることは、社会復帰への第一歩です。人には自ら回復する力も備わっています。自分の中の強さを信じて行動しましょう。

参考資料

  • 日経メディカル編集:がん患者さんの心と体の悩み解決ガイド,pp.112-113,日経BP社,東京,2007
  • 大西秀樹:女性のがん 心のケア ~乳がん・子宮がん・卵巣がん・大腸がん~,pp.158-159,土屋書店,東京,2008
  • 明智龍男:がんとこころのケア,pp.70-71,日本放送出版協会,東京,2003