告知を受けてから~治療を決心するまで
病気や治療のことを考えると心配でたまらず、眠れない毎日です。お医者さんの説明もろくに頭に入りません。
「悪い知らせ」を聞いてから少し時間がたつと、今度は第二期「不安・抑うつの時期」を経験します。第一期を過ぎ、現実が見えてくるので、不安感が増してしまうのです。これも現状に適応するための健全な反応ですが、不安や抑うつが2週間以上続き、不眠や食欲がでないなどの症状がある場合は、適応障害やうつ病の可能性があるので心の専門家に相談する必要があります。この時期は、考えがまとまらないこともあるので、医師から治療の説明があるときは家族等と一緒に行き、メモをとる、録音をするなど、後日確認できるようにしておきましょう。
病名の告知から2週間を過ぎると次第に心身が落ち着き、適切な判断と対応ができる第三期の「適応の時期」に入ります。
参考資料
- 国立がん研究センターがん対策情報センター編集・発行:がんと療養シリーズ.がんと心,p.5,2007
- 秋月伸哉 第Ⅱ章精神症状の評価とマネージメント1. がんの経過における正常反応と精神症状.:専門医のための精神科臨床リュミエール24. サイコオンコロジー,大西秀樹責任編集,pp.40-48,中山書店,東京,2010
- 大西秀樹:女性のがん 心のケア ~乳がん・子宮がん・卵巣がん・大腸がん~,pp.102-108,土屋書店,東京,2008
- 大西秀樹:がん医療における精神腫瘍学的な問題とその対応について 精神神経薬理 11:761-767,2008
- 大西秀樹:サイコオンコロジーの基本的知識 診断と治療 11:54-59,2009
がんの告知を受けました。遠方にいる両親には心配をかけたくありません。できるなら、伝えないでおこうと思います。
伝えないでいるとご自身が色々と気をつかう場面が増え、負担感が強くなっていくかも知れません。また、ずっと隠し続けることは難しいと思います。
以上のことを考えると、原則としてご両親には率直にお話しした方が後々のためによいのではないでしょうか。ご自身で直接お話しするのがつらい場合は、パートナーや兄弟姉妹から徐々に話してもらいましょう。また、早期発見ですぐに生命に関わるようなものでなければ、治療終了後にお話をするという選択肢も考えられます。自分一人で抱え込まずに、信頼できる方に相談してみましょう。
参考資料
- 日経メディカル編集:がん患者さんの心と体の悩み解決ガイド,pp.181-183,日経BP社,東京,2007