“食べたい”の気持ちを支えたい! 神奈川県立がんセンター 栄養管理科 紹介!

2017年7月4日、神奈川県立がんセンター 医療技術部 栄養管理科を訪問し、お話を伺いました。「がん患者さんの食べたい気持ちを支えたい!」という温かい皆さんの取り組みをインタビューさせていただきました。

外来での栄養指導(栄養相談)について

現在、栄養管理科は12名のスタッフがおり、病棟配置、外来担当を決めて栄養相談を行っています。外来担当は2名体制です。栄養相談のニーズは多く、更に幅を広げるために、1つの集団相談室を2つの個別相談室に分けました。外来当日、医師や看護師が、「栄養状態は大丈夫かな?栄養相談が必要だな」と感じた患者さんに対して機会を逃すことなく、栄養指導を行える体制づくりをしています。一日30分の枠を18枠設け、相談に乗れる体制にしました。(※7月から運用予定)

化学療法中の栄養指導(栄養相談)について

がん治療と栄養についてと、治療によって影響される食欲の波や、その時の栄養の摂り方の考え方などをお話ししています。さまざまな症状が出てきた場合を想定して、お食事の形態を変える、匂いがするものを外す、刺激があるものを外すなど、その症状が現れた時すぐに対応できるよう情報提供を行っています。食事の工夫の資料を作成し、差し上げています。また、症状別に対応したレシピも作っています。

<情報室に掲示しているレシピ例>

胃がんの患者さんへの食事の工夫について

胃切除の部位、切除術(術式)によっても異なりますが、術前外来から術後3か月まで栄養指導を実施し食事摂取のサポートを行っています。術後は、5回食(頻回食)の必要性や、少量で栄養アップする工夫、どうしても食べられない時の栄養補助食品の活用方法などもお伝えしています。退院後、自宅で実践してほしい内容を分かりやすくまとめ、読み返していただけるような資料をお渡ししています。

大腸がんの患者さんへの食事の工夫について

大腸がん術後は、下痢や腸閉塞に配慮した食事の摂り方が大切です。そのため、ゆっくり、よく嚙んで食べるようお話をしています。入院中、患者さんには、よく噛んで食べることをより意識し実施いていただけるよう、食事摂取量や食事にかける時間のセルフチェックをしてもらっています。退院時には、症状に合わせた食事の工夫ができるよう資料をお渡ししています。また、術後食はご自宅で下痢等出現した時の対応食の見本となると考えています。

栄養補助食品(濃厚流動食)の工夫について

成分が少し変わってしまうかもしれませんが、栄養補助食品を製氷器に流して一口サイズのアイスにしたり、また、カフェオレの牛乳の代わりにしていただくのも美味しくいただけると思います。栄養補助食品は、一度に、飲み切ろうとせず、1日かけてゆっくり飲んでいただいてもいいと思います。

神奈川県立がんセンター 栄養管理科の特色について

「“食べたい”の気持ちを支えたい」食べなきゃいけない・・ではなく、食べたいと思ってもらえるように、がんセンターをあげて、がん患者さんの栄養に対して積極的に取り組んでいます。例えば、入院中の患者さんには、個々のご希望をお聴きし、「牛乳は苦手、鶏肉は嫌い、一口大に切る、お肉だけ刻む、小さいスプーンをつける」など、それぞれに細かな対応を行っています。また、治療を応援する食事として「みなと応援食」を用意しています。たくさん食べられない時、量や見た目の負担感を抑えたい時には“ハーフ食plus食”を、口腔粘膜障害の痛みがある時には味付けや調理方法を工夫し、刺激を抑えた“なめらか食”を、症状に合わせあっさり、こってり、お手軽から選べる“チョイスメニュー”を患者さんご自身に選んでいただいています。


<みなと応援食の写真>

患者さんやご家族へ

患者さんは、ご家族と住んでいる方、ご夫婦で暮らしている方、独居の方や、若い方、高齢な方など、おひとりおひとり背景が異なります。普段食べているものも生活スタイルも異なります。
お仕事をされている患者さんからは、「昼食は基本的に外食なのですが、何を食べたらいいですか?」という相談も受けます。栄養管理科では、それぞれのライフスタイルにあったお食事の工夫をお伝えしています。また、レシピをお伝えする際は、ご家族など食事を作る方の手間も考慮しています。食事作りがご家族の負担になってはいけないですよね。食べることは、生活の一部です。がんになっても、食事を楽しんでほしい。食事について困ったら、是非私達、栄養士に相談してください。病院内で見かけたら声をかけてください!