すい臓がんの薬物療法の副作用
Q.薬物療法ではどのような副作用がいつごろ現れますか
A.抗がん剤の点滴中か24時間以内に現れる吐き気、アレルギー反応、3日~2週間後に現れる骨髄抑制、口内炎、下痢、全身倦怠感が要注意です。
脱毛、間質性肺炎など1か月以上経ってから出る副作用もあります。
薬物療法の副作用の種類、症状の強さと出現時期(図表8)は、使う薬によって違いますし、また患者さんによっても個人差があります。
すい臓がんの薬物療法の1次治療のうち、①②③で、特に注意しなければいけない副作用は、血液中でウイルスや細菌から体を守る白血球や好中球、血小板などが減少する骨髄抑制です。薬物の投与後、通常3日~2週間で骨髄抑制が起こり始めます。
①②で、手足のしびれ感など末梢神経障害が出たときは減薬や休薬を検討します。②で
は治療開始2~3週間後から脱毛する人が多くなります。ほとんどの場合、治療終了後1~2か月で発毛し、徐々に元の状態に戻ります。③④は比較的重い副作用は少ないとされますが、④では食欲不振、下痢のほか、肝機能障害、消化管出血に注意が必要です。
2次治療以降に使われるイリノテカンリポソーム製剤で起こりやすい副作用は骨髄抑制と下痢、オラパリブでは骨髄抑制です。ペムブロリズマブは間質性肺炎や甲状腺機能障害などに注意が必要です。
膵神経内分泌腫瘍で使うランレオチドは脈が遅くなる徐脈、スニチニブは手足が腫れたり皮膚が乾燥してはがれたりする手足症候群、高血圧、下痢、骨髄抑制、エベロリムスでは間質性肺炎、発疹、爪の障害、ストレプトゾシンは腎機能障害、糖代謝異常などに注意します。
副作用には自分で対処できるものと、我慢せずに、すぐに病院へ連絡したほうがよいものがあります。薬物療法を受ける際には副作用の対処法と、どういうときに病院へ連絡すべきかを必ず確認しておきましょう。
こんな症状が出たときにはすぐ病院へ連絡を!
下記のような症状が現れたときには命に関わる危険性があります。
治療を受けている医療機関へ連絡しましょう。
●38度以上の発熱、悪寒
●呼吸困難
●動悸や息苦しさ、空咳が続く
●下痢がひどく水分もとれない
夜間・休日の緊急時の連絡先と連絡方法を担当医、看護師、薬剤師に確認しておき、電話の横などすぐわかる場所に電話番号などをメモして貼っておくと安心です。
参考資料
もっと知ってほしいすい臓がんのこと 2023年版,pp.14-15