肺がんの薬物療法の副作用
Q.薬物療法ではどのような副作用がいつごろ現れますか
A.副作用の症状や強さ、出現時期などは治療薬によって異なり、個人差もあります。
自分が使用する治療薬の副作用について出やすい症状や時期、対処法などを担当医や薬剤師、看護師に確認しておきましょう。
肺がんの薬物療法で使用される、抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬はそれぞれに副作用の症状、強さ、出現時期などが異なり、個人差も大きいといわれています。
肺がんに用いる抗がん剤には、投与してから1~2週間後に出現する骨髄抑制など血液検査を行うまで自分ではわからない副作用もあれば、投与後1か月経ってから出る末梢神経障害(しびれ、痛み、脱力感など)や手足症候群(手のひらや足の裏の炎症、痛みなど)など自覚症状がみられる副作用もあります。
分子標的薬は標的分子の違いにより、それぞれに特徴的な副作用があり、重大な副作用も異なります。
また、標的分子が同じでも、副作用の出現時期が異なる場合もあります。
たとえば、出やすい副作用として、血管新生阻害薬では高血圧やタンパク尿などが、EGFR阻害薬では皮膚障害などが、ALK阻害薬では視覚異常などがあります。
免疫チェックポイント阻害薬では、免疫が自分の体を攻撃して自己免疫様反応が起こることで皮膚、甲状腺、内分泌(ホルモン)、肺、肝臓、大腸、神経系、筋肉系など全身に副作用が現れることがあります。
これらの副作用の中には、予防が可能だったり、生活の工夫により軽減できたり、早期発見・治療が必要だったりするものがあります。
薬物療法を行うにあたっては治療開始前に、担当医や薬剤師、看護師に治療に使う薬の名前とともに、それらの薬の頻度が多い副作用、重大な副作用を中心に出現しやすい時期や対処法、さらに緊急時の連絡先とタイミングについても確認しておくことが大切です。
こんな症状が出たときにはすぐ病院へ連絡を!
●高血圧(収縮期血圧160mmHg以上、拡張期血圧100 mmHg以上)か、
それに吐き気、頭痛、胸・背部痛、呼吸苦、めまいなどを伴う
●38℃以上の発熱や息苦しさ、空咳が続く
●下痢がひどく、水分も取れない
●出血が止まらない
●手足のピリピリ感、痛みがある
夜間・休日の緊急時の連絡先と連絡方法を、わかりやすい場所に貼っておきましょう。
参考資料
もっと知ってほしい肺がんのこと 2017年版,pp.22-24