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胃がんの内視鏡治療

Q.内視鏡治療について教えてください

A.内視鏡治療は、内視鏡を口から胃の中に挿入し、その先端から特殊な電気メスやナイフなどでがんの部位を粘膜下層ごと剥ぎ取る治療です。
 早期胃がんで、リンパ節に転移している可能性がきわめて低い場合に受けることができます。


条件を満たしている早期胃がんが対象

 早期胃がんで条件を満たす場合は、内視鏡治療でがんを切除することができます。『胃癌治療ガイドライン』では、リンパ節転移の可能性がきわめて低く、がんが一括して切除できる大きさと部位にある場合を内視鏡治療の適応としています。
 そのうえで、日常診療で内視鏡治療(EMR、ESD)が推奨されるのは「絶対適応病変」とし、絶対適応病変ほどのエビデンスがない「適応拡大病変」に対する内視鏡治療(ESD)は、臨床的研究という位置づけで慎重に試みられるべきだとしています。

病理検査の結果によって追加手術が必要に

 内視鏡治療は、主に「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」(図表7)という方法で行われます。ESD後に切除病変を用いた病理検査で根治性を評価し、がんが完全に切除されていて、リンパ節転移の可能性もないと判定された場合は治療が終了します。
 ただし、新たながんの発生リスクや局所再発を考慮して年に1~2回内視鏡検査を行います。また、必要に応じて腹部CT検査や腹部超音波検査を実施することもあります。ヘリコバクター・ピロリ菌が陽性のときは除菌治療を行い、経過観察します。

 一方、がんを完全に切除できていない、またはリンパ節転移の可能性があると判定された場合は、原則的に追加外科切除が必要になります。この手術を行う際は病変の部位や患者の年齢、併存疾患などを考慮することも大事なので、担当医とよく相談してください。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

体への負担が少なく、胃の機能も維持できる

 ESDは体への負担が少なく胃の機能も維持できる方法ですが、治療した部分からの出血や胃穿孔(胃に穴が開くこと)の危険性があるため、1週間程度入院して行われます。一般的にESD施術後、翌日より飲水が、翌々日より食事が5分粥から開始となり、全粥、常食となって5~7日目に退院となります。ESDで切除した部分は人工的な胃潰瘍になっているので、治療後に胃潰瘍の薬を2か月ほど内服します。また、治療した部分によってはまれに狭窄を起こす可能性もあります。

参考資料

もっと知ってほしい胃がんのこと 2016年版,pp.9

公開日:2022年1月21日 最終更新日:2022年1月21日

BOOKLET胃がんの内視鏡治療に関する冊子