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小児脳腫瘍とは

小児脳腫瘍とは

 小児がんは子どもの病死原因の第1位ですが、中でも小児脳腫瘍は白血病に次いで2番目に多く発症が見られ、治癒が困難な病気の一つに挙げられます。

 国内で小児脳腫瘍と診断される子どもの数は年間500~750人程度と考えられ、150種類以上もの細かな分類があります。同じ診断名が付いたとしても、年齢、腫瘍のできた場所などによって治療法や予後が大きく異なるのが特徴です。

 脳や脊髄という、人間が生きていく上で大切な機能を担う器官を障害する脳腫瘍は、命をおびやかす存在であるだけでなく、治療後も生活に影響する障害や合併症が生じることも少なくありません。
 また、良性だから予後が良いとも言えない小児脳腫瘍では、腫瘍が良性か悪性かに関わらず、良性も含めて、広い意味での「小児がん」と捉えます。

 多くの小児がんがそうであるように、多くの小児脳腫瘍の原因ははっきりとはわかっていません。
 さらに、たとえば大人のがんでは、検診でがんが見つかった、しこりを見つけて受診をしたら乳がんだったというようなケースもよくありますが、小児脳腫瘍では最初から小児脳腫瘍だと思って受診することは稀です。「風邪かな」「頭痛がする」というところから始まって診断までに時間を要してしまうことも少なくありません。

 小児科、眼科、耳鼻科などいろいろな診療科を受診して、ようやく脳腫瘍だとわかることは、小児脳腫瘍ではよくあることです。あるいは、急激な発症で脳腫瘍が見つかり、診断された病院ですぐに治療がスタートしてしまうということも考えられます。

 大切な子どものことであればこそ、「どうして見逃してしまったのだろう?」と親・保護者など身近な人たちは自分を責めてしまいがちですが、小児脳腫瘍のサインは、気が付くことが難しいもの。小児脳腫瘍というライフイベントに向かう子どもにとって最適な道を歩んでいくためにも、今とこれからできることを一緒に考えていきましょう。

小児脳腫瘍と症状

 小児脳腫瘍では、いろいろな症状が現れますが、たとえ症状が出ていたとしても診断とすぐには結び付きづらかったり、小さな子どもでは症状の訴えがないために気が付かなかったりすることが考えられます。
 たとえば、頭痛や視覚障害はよくある症状ですが、頭痛を引き起こす子どもの病気は脳腫瘍以外にもたくさんあります。視覚障害では、片方の目で見ることができるために、もう一方の視力低下に気が付かなかったというケースもあります。

 こうした事情から診断までに時間を要し、診断までに半年かかったということもありえるのが小児脳腫瘍です。頭痛、視覚障害のほかに、吐き気・嘔吐、ふらつき、頭囲が大きくなるといった主症状も見られます。腫瘍が大きくなるのに伴い、水頭症を発症することもあります。
 また、図表1のように、脳の中で各部位が担う役割と関連した症状が生じることもあります。

腫瘍の位置に関連した局所症状

参考資料

もっと知ってほしい小児脳腫瘍のこと 2020年版,pp.4-5

公開日:2022年1月25日 最終更新日:2022年1月25日

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