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子宮頸がんの手術

どんな手術が行われ、体にはどのような変化が現れますか

子宮頸がんの手術には、子宮頸部円錐切除術、単純子宮全摘出術、準広汎子宮全摘出術、広汎子宮全摘出術などがあり、進行期などを考慮して選択されます。

手術は、子宮頸がんの根治をめざす主要な治療法で、子宮頸部前がん病変(扁平上皮がんのCIN 3と腺がんのAIS)とⅠA期では最も一般的な治療法です。進行子宮頸がんでもⅠB期、Ⅱ期では手術でがんを切除できると判断されるため、第1選択として手術(広汎子宮全摘出術)が推奨されています。

術式の1つを用いてがんを切除

術式には、主に以下の4つがあり(図表11)、がんの進行期に加えて、円錐切除標本(断端)におけるがん細胞の有無、がんが血管やリンパ管などに入り込んでいる脈管侵襲や癒合浸潤の有無(がんの広がり)、妊娠希望の有無などに応じて選択されます。

子宮頸がんの手術の方法
①子宮頸部円錐切除術

腟から挿入した器具(メス、レーザー、高周波電流など)で、がんのある子宮頸部の組織を円錐状に切除します。生検に必要な組織を採るのが主な目的ですが、子宮頸部前がん病変のほかⅠA期で切除断端が陰性で妊娠希望時には治療法にもなります。

②単純子宮全摘出術

開腹して(腹式)、あるいは腟から(腟式)、子宮頸部と膀胱や直腸、尿管などの周辺臓器との間の、頸部側のギリギリのところで切除して子宮だけを摘出する方法です。ときには、両側付属器切除術が併用され、卵巣や卵管が切除されます。

③準広汎子宮全摘出術

尿管を、子宮動脈と交差している場所から剥離して外へずらし、尿管と子宮頸部との間で子宮を切除する方法です。骨盤リンパ節転移の可能性が高い場合は骨盤リンパ節郭清術が併用されるほか、両側付属器切除術も同時に行われることがあります。

④広汎子宮全摘出術

尿管を膀胱に入るところまで剥離して、子宮のほか、腟の一部や子宮を支える基靱帯などの子宮傍組織を広く切除し、摘出すると同時に、骨盤リンパ節も郭清する方法です。両側付属器切除術が同時に行われることあります。

②③④は腹腔鏡手術も保険適用となっています。ただし、日本産婦人科学会によって腹腔鏡手術の要件や施設基準が定められており、どの病院でも受けられるわけではありません。担当医と相談してください。なお、ロボット支援腹腔鏡手術はCISやAISの単純子宮全摘出術は保険適用ですが、ⅠA期以降の子宮頸がんは保険適用になっていません(2024年3月現在)。

子宮頸部円錐切除術のみ妊娠可能

将来の妊娠を希望する場合に選択可能な手術は子宮頸部円錐切除術のみで、その対象は子宮頸部前がん病変と、がんが肉眼では見えないⅠA期までに限られます。しかし、扁平上皮がんでも特にⅠA2期や腺がんでは、再発リスクを考慮して準広汎子宮全摘出術などがすすめられます。子宮を温存する広汎子宮頸部摘出術(図表12)を選択できる場合もあります。

妊娠を希望する場合は担当医や家族とともに十分に話し合い、子宮を温存したときにはきちんと通院して、再発を見逃さないように厳格に管理することが大切です。

広汎子宮頸部摘出術

術後に不快な症状が現れることも

手術は「切れば終わり」ではなく、手術直後は痛みのために動きが制限されます。子宮を含めて広範囲に切除した後には、直腸や膀胱の排泄を調整する神経の障害によって排便や排尿に関わる障害(便秘、尿閉*、尿漏れ)が、骨盤内や足の付け根のリンパ節郭清でリンパ節を取った後には、足や外陰の浮腫(むくみ)が起こります。閉経前に両側の卵巣を切除した場合は女性ホルモンの産生がなくなるため、ほてりや発汗、イライラ、頭痛などの更年期障害に似た症状を認めたり、腟からの分泌物が減少したりします。腟を切除すると性交障害が起こることもあります。

これらの症状が出る時期や強さ、期間には個人差がありますが、つらい気持ちや悩み、心配ごとを1人で抱え込まず、対処法について担当医や看護師に相談したり、先輩患者さんと情報交換したりして上手に対応しましょう。

*たまった尿を出そうとしても出せない状態

参考資料

もっと知ってほしい子宮頸がんのこと 2024年版,p.11、12

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