膀胱がんの薬物療法の副作用
Q.薬物療法ではどのような副作用がいつごろ現れますか
A.BCG注入療法では膀胱炎、排尿障害が要注意です。抗がん剤の主な副作用は投与直後の吐き気、アレルギー反応、1週間目以降に出現する骨髄抑制、口内炎です。免疫チェックポイント阻害薬は特殊な副作用があり、注意が必要です。
副作用の種類、強さ、出現時期は、使う薬や投与方法によって異なります。また、副作用には自分でわかるものと自覚症状がなく検査でわかるものとがあり、出方には個人差があります。主な症状と出やすい時期の目安、対処法を知っておくと、あわてないですみます(図表11~13)。
膀胱内BCG注入療法や抗がん剤の膀胱内注入療法の主な副作用は、膀胱炎、頻尿・排尿痛などの排尿障害、血尿です。投与間隔をあけたり投与時間を短くしたりすると症状が軽減される場合があります。TURBT後のアントラサイクリン系薬剤では、頻度は低いものの心筋障害、心不全、間質性肺炎に注意が必要です。マイトマイシンCでは、貧血、血小板減少、尿毒症を併発する溶血性尿毒症症候群、急性腎不全、骨髄抑制が起こることがあります。GC療法、dd M-VAC療法の主な副作用は、吐き気・嘔吐、貧血、骨髄抑制です。
免疫チェックポイント阻害薬のアベルマブ、ペムブロリズマブでは、免疫の異常による甲状腺機能障害、間質性肺炎、大腸炎などの副作用が出ることがあります。薬の投与を止めた後しばらく経ってから副作用が出る場合もあるので要注意です。
副作用の種類と程度によっては薬の量や投与回数を減らしたり薬物療法を休止したりすることもあります。治療前に、副作用とその対処法、どういうときに病院へ連絡すべきかを必ず確認しておきましょう。副作用に対する薬の開発は進んでおり、つらい副作用はかなりコントロールできるようになってきています。不安があったら担当医や薬剤師、看護師に相談し、副作用を怖がって薬物療法を勝手に中断したり我慢したりしないようにしましょう。
こんな症状が出たときにはすぐ病院へ連絡を!
下記のような症状が出たときには命にかかわる危険性があります。治療を受けている医療機関へ連絡しましょう。
●38度以上の発熱 ●悪寒 ●呼吸困難 ●動悸や息苦しさ、空咳が続く
●嘔吐や下痢がひどく水分もとれない ●尿が出ない
夜間・休日の緊急時の連絡先と連絡方法を担当医、看護師、薬剤師に確認しておき、電話の横などすぐわかる場所に電話番号などをメモして貼っておくと安心です。
参考資料
もっと知ってほしい膀胱がんのこと 2022年版,pp.16-17