子宮頸がんの放射線療法
放射線療法はどのように行われますか
放射線には、細胞の核の中にある遺伝子(DNA)を壊し、細胞の増殖を止める働きがあります。これを利用したのが放射線療法で、がん細胞のDNAを壊すことでがんを小さくします。放射線療法は子宮頸がんに有効な治療法で、手術を行わずに根治させることを目的として、ⅠB1期、ⅠB2期、ⅡA1期では放射線療法が単独で、ⅠB3期とⅡA2期、ⅡB期では、放射線療法と同時に化学療法(シスプラチン週1回、計5~6回、点滴静脈内投与)を行う同時化学放射線療法が行われることがあります。また、ⅠB期、Ⅱ期では広汎子宮全摘出術後に再発リスクが高い場合、術後補助療法として放射線療法や同時化学放射線療法を行うことがあります(p.14)。ⅠB1期、ⅠB2期、ⅡA1期では手術と放射線療法単独の治療成績は同等、ⅠB3期とⅡA2期では手術と同時化学放射線療法の治療成績は同等とされています。いずれを選択するかは担当医とよく相談することが大切です。Ⅲ期やⅣA期では、第1選択として同時化学放射線療法が行われます(子宮頸がんの治療 図表9)。
外部+腔内照射をスケジュール通りに行う
照射方法には、体外から放射線を照射する「外部照射」と、子宮と腟にアプリケータを挿入したうえで放射線発生源のラジオアイソトープを密封した金属カプセル(密封小線源)を送り込み、照射する「腔内(くうない)照射」があり、根治を目的として併用されます。外部照射では1日1回週5日、合計25~30回(約5~6週間)、骨盤全体の比較的広い範囲を照射します。腔内照射は週1~2回、合計3~4回、子宮頸部の病変に照射します。放射線療法の効果を得るには治療を休まず8週間以内に終了することが重要です。
なお、2022年4月から手術で切除できない腺がんに対して重粒子治療が保険適用になっています。受けられる施設が限られているため、放射線腫瘍医とよく検討してください。
放射線療法は、手術に比べて排尿機能障害や性交障害などの合併症が軽い反面、卵巣機能を温存できず、皮膚炎や粘膜炎、だるさ、吐き気・嘔吐、直腸炎、膀胱炎などの副作用が出たり、数か月~数年後に晩期合併症が現れたりします。
扁平上皮がん/腺がんのⅠB期、Ⅱ期の術後補助療法
扁平上皮がん/腺がんのⅠB期、Ⅱ期では、広汎子宮全摘術を実施した際に摘出した組織を調べて、再発リスク評価を行います(図表13)。がんの大きさや間質への浸潤の深さ、周囲の脈管(血管やリンパ管)への浸潤の有無などによって低リスク、中リスク、高リスクの3つに分類し、低リスクであれば経過観察、中リスクであれば放射線療法単独か同時化学放射線療法、高リスクであれば同時化学放射線療法を行います(子宮頸がんの治療 図表8)。
低リスク | 以下のすべての項目を満たす |
---|---|
①がんが小さい | ②領域リンパ節への転移がない |
③子宮を支えている組織(子宮傍組織)への浸潤がない | |
④子宮頸部間質への浸潤が浅い | |
⑤脈管への侵襲がない | |
中リスク | ①②を満たしたうえで③④⑤のいずれかの項目を満たす |
①領域リンパ節への転移がない | |
②子宮を支えている組織(子宮傍組織)への浸潤がない | |
③がんの最大径が大きい | |
④子宮頸部間質への浸潤が深い | |
⑤脈管への侵襲がある | |
高リスク | 以下のいずれかの項目を満たす |
①切除標本(断端)にがん細胞がある | |
②領域リンパ節に転移がある | |
③子宮を支えている組織(子宮傍組織)への浸潤がある |
セカンドオピニオンとは?
担当医から説明された診断や治療方針に納得がいかないときや、さらに情報がほしい場合は別の医師に意見を求める方法があります。これを「セカンドオピニオン」といいます。納得のいく治療を選択するために、別の医師の意見を参考にするシステムなので、セカンドオピニオンの結果は担当医に必ず報告し、もう一度、治療方針についてよく話し合いましょう。
セカンドオピニオンを受けたいときは、担当医に紹介状や検査記録を用意してもらう必要があります。また、各地のがん診療連携拠点病院に設置されている相談支援センターに問い合わせると、「セカンドオピニオン外来」を実施する病院の情報が得られます。なお、セカンドオピニオン外来の費用は全額自己負担になります。
参考資料
もっと知ってほしい子宮頸がんのこと 2024年版,p.13、14
公開日: 最終更新日: