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Patient’s Voice ~大腸がん患者さんの声~

Patient’s Voice ~大腸がん患者さんの声~

大腸がん体験をされた方が、診断時・治療中や治療後に何を思っていたのか、ご自身の体験を語っていただいた情報を掲載しています。

Patient’s Voice ~患者さんの声①~

自分の身体より、入院した後の家族の生活が心配でした

 ある朝、トイレで排便しようとしたらビー玉くらいの血の塊が4、5個落ちてきました。2か月ほど前にも、便に赤いものが絡まっていたことがありましたが、食べ物のせいだと気に留めませんでした。今回はおかしいと思い、すぐ翌日に病院へ。内視鏡検査を受け、直腸がんと告知されました。父をがんで亡くしているので、ある程度覚悟があり、「しょうがない、治療しよう」とすぐに受け入れることができました。
 ただ、心配だったのは家族のこと。当時、息子たちは高校生と中学生で、私が入院した後、ちゃんと生活できるのか、自分の身体のことより不安でした。幸い兄や姉、友人が近くにいて、夕食のおかずや息子の弁当をつくって届けてくれたのは、本当にありがたかったです。
 入院は1か月ほどで、治療は手術のみで済みました。ただ術後しばらくは、急な便意を我慢できずに漏らしてしまうことも。外出するのが怖くて家に閉じこもった時期もありました。そんなとき、担当医が「ゆっくり行こうよ」と声をかけてくださり、その一言でずいぶん気持ちが楽になりました。
(直腸がん・50歳女性・診断から7年目)

大腸がん患者さんの声1
Patient’s Voice ~患者さんの声②~

ステージⅣでも、今はフルマラソンを完走できるほど元気です

 28歳のとき、腸閉塞を発症し、S状結腸がんが見つかりました。便秘以外の自覚症状はなく、普通に暮らしていたので、突然がんだといわれて頭が真っ白に。理解できないまま、医師にお任せ状態で、告知を受けたその日に緊急手術を受けました。
 開腹したところ、S状結腸から卵巣への浸潤と腹膜転移を起こしており、左の卵巣も摘出。結腸はがんを切除してつなぎ合わせていますが、日常生活で不便を感じることはありません。ただ、卵巣を摘出したことで、将来の妊娠・出産の機会が失われてしまったような気がして、とてもショックでした。でも人間の身体は不思議で、右の卵巣が残っているので、生理はあるのです。
 術後は、ステージⅣと診断され、抗がん剤治療を点滴・内服と薬を変えながら5年間続けました。5年生存率20%以下というネット情報に精神的に追い詰められたこともありましたが、昨年、術後5年を迎え、治療を卒業。今はフルマラソンを完走するほど元気です。Ⅳ期と診断されても希望を捨てることはないと思っています。
(S状結腸がん・34歳女性・診断から6年目)

大腸がん患者さんの声2
Patient’s Voice ~患者さんの声③~

人工肛門を造設。失敗しながらも約1年で管理するコツを得ました

 痔による下血だと思っていたら、肛門から3cmほどのところにがんが見つかり、担当医から術前に「もしかしたら肛門ごと切除が必要で、人工肛門になるかもしれない」と説明がありました。正直、人工肛門がどのようなものなのかわからなかったので、左の下腹部に人工肛門が造設されるまで、現実味は何もなかったですね。
 便は人工肛門に装着した袋に溜めるのですが、接着剤で付けているのでちょっとした拍子に隙間ができて、便が漏れてしまうこともあります。そういう非常事態のときにどうするか、自分なりの対処法を確立するのに1年くらいかかりました。あれから9年。煩わしさは変わりませんが、管理のコツを得たので普段の生活で大きな支障を感じることは少なくなりました。
 手術の後遺症には、排尿や性機能障害もあります。私自身は性機能が弱くなったと感じる程度ですが、勃起障害、射精障害で悩んでいる仲間もいます。このようなことも恥ずかしがらずに担当医に確認して手術に臨むといいと思います。
(直腸がん・47歳男性・診断から10年目)

Patient’s Voice ~患者さんの声④~

「何かあったらすぐに対処します」という担当医の言葉に安心して治療を始められました

 最初の大腸がんの手術から19年が経過した頃、新たな大腸がんが見つかり、手術を受けて、その後、抗がん剤治療をすることになりました。どんな副作用が現れるのか、初めてのことで不安でしたが、担当医から「薬剤を投与した後に何か身体に変化があったらいつでも電話してください。すぐに対処しますから」といってもらい、安心して始めることができました。抗がん剤を投与している最中も看護師さんがたびたび様子を見に来てくれて「大丈夫ですか」と声をかけてくださることも心強いです。
 今も3週間に一度の抗がん剤の点滴と、内服薬の治療を続けています。内服薬は2週間飲んで1週間休むというサイクルで、朝夕の食後に4錠ずつ飲まなければいけません。食事をするときは1週間分をセットした薬の袋を必ず食卓に置いて、抗がん剤を飲み忘れないように気をつけています。
 とてもありがたいことに通院には必ず妻が付き添ってくれます。夫婦二人三脚で大腸がんの治療を乗り越えているところです。
(直腸がん・74歳男性・診断から4年目)

Patient’s Voice ~患者さんの声⑤~

仕事と治療を両立し、がんとの共存を目指します

 ステージⅢの直腸がんと診断されて腹腔鏡手術と12クールの抗がん剤治療を受けました。それから約1年半後に右の卵巣に、さらに1年半後に腹膜への転移・再発が見つかりました。
 転移・再発がわかったのは転職したばかりの頃で、解雇されることも覚悟で上司に伝えました。幸い職場の理解が得られ、抗がん剤の副作用が強い5日間はお休みをもらうことで、今も働きながら2週間に1回の外来化学療法を続けています。
 このような療養生活を送る中、がんをやっつけるというより共存でもいいと思っています。それに私、病気になって行動範囲が広がった気がします。いろいろな人に出会い、毎日を楽しく過ごせているので、まだまだこの生活を続けるために努力していきますよ。      
(直腸がん・33歳女性・診断から5年目)

参考資料

もっと知ってほしい大腸がんのこと 2022年版,pp.6,9,13,18,26

公開日:2022年1月21日 最終更新日:2022年12月26日

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