Patient’s Voice ~胃がん患者さんの声~
Patient’s Voice ~胃がん患者さんの声~
胃がん体験をされた方が、診断時・治療中や治療後に何を思っていたのか、ご自身の体験を語っていただいた情報を掲載しています。
Patient’s Voice ~患者さんの声①~
食事中の水分を控えて友人とのランチを楽しめるように
39歳のときに胃がんが見つかりました。まだ小さかった子ども3人を母に預けて入院。腫瘍が小さく初期だったため、腹腔鏡手術の予定でしたが、術中の判断で開腹手術になり、胃を3分の2ほど切除しました。
手術後は、お腹が空いたという感覚がなくなりました。今は慣れましたが、空腹感がなくなったのはとても寂しいことでした。たくさん食べられなくなったので、外食のときは、お店の人に理由を話してお子様ランチを頼んだことも。食事に関して自分のペースをつかむまで2~3年ほどかかりましたが、
食事中の水分を控えると人並みに食べられることがわかり、友人とのランチも楽しめるようになりました。
また、自分が食べられる量を基本に家族の料理を作っていたので、食事の量がまったく足りないという失敗もありました。術後の生活は慣れるまで大変でしたが、家族の支えのおかげで乗り越えられました。
(49歳・女性・診断から11年目)
Patient’s Voice ~患者さんの声②~
よく噛んでゆっくり食べることを意識するように
60歳の節目に届いた市のがん検診のはがきを見て、胃カメラの検診を受けたところ、初期の胃がんが見つかりました。手術を受けるにあたり、医師から開腹手術と腹腔鏡手術の両方の説明がありました。当時は腹腔鏡手術のほうが少なかったのですが、手術の傷が小さくて治りが早いことにメリットを感じて腹腔鏡手術を選択しました。
手術後は病院で栄養指導を受けました。栄養士さんからもらった、食事のとり方について書かれた紙を冷蔵庫に貼り、それを参考に妻が料理を作ってくれました。元気なときは当たり前だと思っていた家族の有難さに気づきました。
これまで早食いだったのですが、今はよく噛んでゆっくり時間をかけて食べることを意識しています。また、体重が減り、体力が落ちてしまったので、趣味のゴルフなど運動をしながら健康維持に努めています。胃がんになって早期発見の大切さを痛感したので、今では周囲の人に定期的ながん検診の必要性を伝えています。
(62歳・男性・診断から3年目)
Patient’s Voice ~患者さんの声③~
同じ病の仲間と出会ったことで気持ちが前向きに
大学生のとき、ⅡA期の胃がんが判明し、開腹手術を受けました。術後に担当医から抗がん剤治療をすすめられたときは戸惑いましたが、カプセルで飲めて、髪も抜けないと聞き、1年間の治療を受ける決意をしました。
副作用は軽いと聞いていたものの、強い吐き気の症状が出て、食欲が減退。さらに、術後の後遺症が重なって食事が食べられなくなりました。気持ち悪くても吐けないため、ただひたすら横になってやり過ごしているうちに症状は楽になっていきました。
治療中、「私に未来は来るのだろうか」と気分も沈みがちでした。しかし、同じ病の仲間に出会えたことで「がんになっても夢をあきらめなくていいのだ」と気づくことができ、気持ちが前向きになれました。そして昨年、治療後に知り合った彼と結婚。病気のことを伝えたとき、一緒に泣いて受け入れてくれたことがうれしかったです。
今、鉄分が不足していて点滴治療を受けるために毎週病院に通っています。この先も手術の後遺症とは付き合っていかなくてはなりませんが、体調を整え、再発の可能性がなくなったら、いつか赤ちゃんがほしいなと考えています。
(28歳・女性・診断から5年目)
Patient’s Voice ~患者さんの声④~
つらい治療を乗り越えて新しい人生をスタート
25歳のときに初期のスキルス胃がんを告知されて開腹手術を受けました。胃がんがわかったときは病気や治療に対する知識がないまま、5年生存率の説明を受けたので、冷静ではいられませんでした。
入院中は、術後の痛みや治療の苦しさから心が折れそうになったこともありました。しかし、家族や友人の支え、担当医の「君は絶対に社会復帰できるから」という励ましのおかげで、前を向けるようになりました。そして、病気に向き合うだけの人生はおもしろくない、健康な人と同じように結婚・子育てをしながら社会の中で自分のポジションを確立したいと願うようになりました。
入院中に休職していた会社を、自分の意思で退職。地域に貢献したかったので故郷に戻り、地元野菜や食の魅力を伝えるカフェを開きました。これからは私自身が生き証人となり、社会復帰に不安を感じている患者さんへ、その道筋を示してあげたいです。
(30歳・男性・診断から5年目)
Patient’s Voice ~患者さんの声⑤~
勤務時間を配慮してもらい、治療と仕事を両立
1か月で体重が4kg減少し、食欲低下、胃もたれが続いたので病院へ。1cmほどの胃がんが見つかり、内視鏡治療を受けました。それから半年後に局所再発がわかり、開腹手術を受けた際にリンパ節転移が見つかったので、仕事を続けながら抗がん剤治療を行いました。
倦怠感や悪心などの副作用に悩まされ、仕事との両立が厳しくなってきたので、人事部に薬の副作用や体の状態を正直に相談しました。すると、人事担当者から「まずは治療を優先するように」と言ってもらい、体に負担がかからないよう遅刻や早退を許してもらいました。また、治療中も特別視せずに従来と同じ責任ある仕事をまかせてもらえたことにも感謝しています。
がんを経験して人生観が変わりました。これからは後悔のない生き方をしようと思っています。
(38歳・男性・診断から3年目)
参考資料
もっと知ってほしい胃がんのこと 2016年版,pp.12,13,14,16,17