Patient’s Voice ~膀胱がん患者さんの声~
Patient’s Voice ~膀胱がん患者さんの声~
膀胱がん体験をされた方が、診断時・治療中や治療後に何を思っていたのか、ご自身の体験を語っていただいた情報を掲載しています。
Patient’s Voice ~患者さんの声①~
腫瘍を切除して20年、再発するも今は日常生活に戻っています
20年前、膀胱がんの腫瘍を取りましたが、その後普通の生活を送ってきて、すっかり忘れていました。先日、血尿が出たときも、最初はほかの内臓の病気を疑ったぐらいです。検査しても原因が見つからず泌尿器科へ行くと、なんと以前に手術をしてもらった担当医に再会。その日のうちにMRI、CT、超音波、内視鏡検査を受け、腫瘍が見つかりました。
当時「再発があるかもしれませんよ」と言われたことを、このときになって思いだしました。手術を即決、同じ医師にみてもらえる安心感があったので迷いはありませんでした。
今回も腫瘍切除だけで済み、今は定期的に内視鏡検査をしてもらっています。
この病気をした人は、まず血尿にショックを受けるでしょう。でも恐れることはありません。私のように、普段通りの生活を送っている人がたくさんいます。早くお医者さんに行ってと伝えたいですね。
(66歳男性 診断から21年目)
Patient’s Voice ~患者さんの声②~
将来のリスクと今後の生活を秤にかけて納得して手術を選択しました
数年前からおしっこが我慢できず、夜は何度も起きるようになり、年のせいかなと思っていました。近所の病院を受診していましたがよくならず、やはり大きな病院できちんと検査してもらうことにしたのです。
1週間の検査入院の結果、上皮内がんとわかりました。腫瘍を取ってBCGの注入をすれば70~80%の効果があるということでした。しかし私の場合、8か月後に別の場所にもがんができてしまったのです。
治療法について、詳しく説明していただけたので、膀胱を取った場合の生活への影響や、取らなかった場合のリスクも理解できました。会社を経営しているので、仕事に影響がないかが、私にとって大きな判断基準になりました。切除しても自分で排尿の処理をすれば日常生活に支障はないことを考えると、再発のリスクを残すよりもと判断し、納得して膀胱全摘除術、尿路変向術をお願いしました。
がんが見つかり、最初はしょげていましたが、手術後は暴飲暴食もしなくなり健康的な生活になりましたね。事業も子どもたちに少しずつ任せるようにして、時間をつくって水彩画を始めたり美術館に通ったりしています。今は生活習慣を改めるきっかけになったと思っています。
(71歳男性 診断から3年目)
Patient’s Voice ~患者さんの声③~
膀胱を全摘除しましたが、スキーやゴルフ旅行にも出かけています
診断後の説明で、命を考えたら膀胱の全摘除が最善とはわかったのですが、取ったら生活がどう変わるのかが不安でした。自分の腸を使っておなかからおしっこを出すようにする(回腸導管造設術)と聞いて決断しました。手術入院は20日ほど。歩くと回復が早いと聞き、手術の2日後には歩き始めました。退院から1か月後にはゴルフにも行っていました。
夜は長時間用のウロバッグ(尿をためる袋)にストーマをジョイントして寝ます。ベッドで寝ていれば、袋を下げておけるので排尿を気にする必要がありません。旅先でも洋室にしてもらうなど、多少の不自由はありますが、趣味のスキーもゴルフも今まで通り続けています。クラブハウスでの入浴は、人に嫌な感じを与えないよう、テープで体にパウチを固定するなどの処置をして、みんなと楽しんで入っています。
今は3か月に1度の定期検診だけ。自分で排尿の処理もできているので、来年は10日間の海外旅行も予定しています。
(71歳男性 診断から3年目)
Patient’s Voice ~患者さんの声④~
新たに膀胱をつくり薬物療法も。看護師さんの励ましが支えに
もともと膀胱圧が低く6年前からカテーテルを使って排尿をしていました。がんが見つかったときは膀胱と子宮体部の摘出が必要な状態。ショックでしたが、担当医が「まだ若いから」と新膀胱造設術を提案してくれました。新膀胱をつくった後は薬物療法が必要で、私は2回受けています。脱毛や吐き気があると聞き、不安だったのですが、看護師さんが「つらいときはすぐに言ってください。今はいいお薬がありますからね」と励ましてくれて心強かった。幸い自覚するような副作用は何もありませんでした。
新膀胱は当初は尿漏れがありましたが、運動することでだんだん少なくなっています。腸粘液が出るのはどうしようもありません。外出するのが億劫になることもありますが、特別なリハビリが必要ないのはありがたいこと。今は車もやめてせっせと歩くようにしています。
(68歳女性 診断から3年目)
Patient’s Voice ~患者さんの声⑤~
再発の心配があったので、予防のためにBCG注入をしました
たまたま定期検診で尿に異常が見つかりました。血尿などの自覚症状もまったくない状態で、早期のがんでした。治療は腫瘍の切除だけ。しかし、ほっとしたのも束の間、1か月後に再発し、もう一度手術を受けました。
その後、定期的に受診しています。予防のためのBCGの注入も2回受けました。膀胱内にBCGを充満させるために2時間ほどおしっこを我慢するのが少し厳しい程度で、一般的な抗がん剤の治療で起こるようなつらい副作用もありません。早期発見できたことや早く処置してもらえたことは本当に運がよかった。自分は周囲の力で生かされていると思いました。それから精神的にラクになりましたね。
再発の心配はありますが逃げることはできません。病気と闘うためにも今は体力を落とさないようにしています。
(41歳男性 診断から1年目)
参考資料
もっと知ってほしい膀胱がんのこと 2022年版,pp.7,9,11,13,15