多発性骨髄腫のケア
体の痛みや心のつらさを我慢しないで!
苦痛を和らげてくれる専門家がいます
がんの痛みには骨髄腫そのものが原因となる痛み、治療に伴う痛み、床ずれなど療養に関連した痛みなどがあります。がん対策基本法では「初期からの痛みのケア」の重要性が示されており、痛みのケアはいつでも必要なときに受けられます。痛みがあったら我慢せずに、まずは担当医や看護師に伝えましょう。骨髄腫の場合は、痛みやつらい症状の軽減は最後まで血液内科医が行うことが多いものの、必要に応じて、緩和ケアチームや在宅緩和ケア医、心の専門家(下欄)と連携しています。
緩和ケア外来
がんの治療中、またはがんの治療を中止、あるいは一段落した患者さんと家族を対象に、がんや治療に伴う苦痛のケアを行う外来です。
緩和ケアチーム
一般病棟の入院患者さんに対して担当医や病棟看護師と協力し、多職種のチームで痛みの治療やがんに伴う苦痛の軽減を行います。
緩和ケア病棟(ホスピス)
積極的治療が困難になり、入院して痛みや苦痛のケアを必要とする患者さんを対象にした病棟です。
在宅緩和ケア
痛みのケアは自宅でも入院中と同じように在宅医や地域の在宅緩和ケアチームから受けられます。
「がんの疑いがある」といわれた時点から患者さんとその家族は不安になったり怒りがこみ上げてきたりと、さまざまな心の葛藤に襲われます。家族や友人、医師、看護師、がん相談支援センターのスタッフにつらい気持ちを打ち明けることで徐々に落ち着くことが多いものの、2~3割の患者さんと家族は心の専門家(下欄)の治療が必要だといわれています。眠れないなど生活に支障が出ているようなら担当医や看護師に相談し心の専門家を紹介してもらいましょう。
精神腫瘍医
がん患者さんとその家族の精神的症状の治療を専門とする精神科医または心療内科医のことです。厚生労働省や日本サイコオンコロジー学会を中心に精神腫瘍医の育成や研修が行われています。
心をケアする専門看護師
がん看護専門看護師や精神看護専門看護師(リエゾンナース)、緩和ケア認定看護師が、患者さんと家族の心のケアとサポートも行います。不安や心配ごとは我慢せずに伝えましょう。
公認心理師・臨床心理士
公認心理師は心のケアを行う心理職の国家資格で、臨床心理士は臨床心理学に基づく知識や技術を用いて心のケアをする専門職です。医師や看護師と連携して、患者さんや家族の心のケアとサポートをしています。
経済的に困ったときの対策は?
骨髄腫の治療は長期間にわたるため、治療費の自己負担がかさみます。経済的な問題は、治療の継続や治療薬の選択にも関わるので、心配なときや困っているときには担当医に率直に伝えましょう。
公的医療保険には、高額な治療費がかかったときの自己負担を軽減する高額療養費制度があります。公的医療保険の窓口に申請して「限度額適用認定証」を受け取り、事前に病院に提出すれば、外来でも入院でも窓口の支払いが自己負担限度額の範囲内で済みます。
治療費や生活費、就労の問題などで困ったときはかかっている病院の相談室、または近くのがん診療連携拠点病院の相談支援センターを活用しましょう。相談支援センターでは、地域のがん患者さんや家族からの相談も受け付けています。
参考資料
もっと知ってほしい多発性骨髄腫のこと 2021年版,pp.19