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多発性骨髄腫の造血幹細胞移植

Q.造血幹細胞移植とはどのような治療法ですか

A.寛解導入療法後、大量薬物療法で骨髄腫細胞を限りなくゼロに近い状態に減らし、造血幹細胞を回復させる治療法です。
 多発性骨髄腫の治療は自家造血幹細胞移植が中心で、強い効果が期待できる半面、合併症が起きる危険がある治療です。


 造血幹細胞移植は、通常の薬物療法では治療が難しい血液がんの患者さんを対象にした治療法です。自家造血幹細胞移植(自家移植)と同種造血幹細胞移植(同種移植)がありますが、多発性骨髄腫に対する治療は、自家移植が中心です。

 自家移植では、あらかじめ患者さん自身の末梢血から造血幹細胞を採取・凍結保存します(コラム「造血幹細胞の採取方法」)。大量薬物療法では、骨髄腫細胞を最小限にする効果が期待できるとともに、正常な血液をつくる造血機能も大きなダメージを受けます。自家移植では、大量薬物療法で骨髄腫細胞をゼロに近い状態まで減らした後、輸血のような形で、凍結しておいた患者さんの造血幹細胞を解凍して輸注することによって、 血液をつくる機能を回復させます(図表13)

自家造血幹細胞移植の流れ

 大量薬物療法と自家移植の併用は、通常の薬物療法よりも高い効果が期待できる半面、吐き気・嘔吐、下痢、 口内炎、脱毛、食欲不振などの副作用も強く、肝臓、腎臓、心臓、肺、中枢神経などに命にかかわる重大な機能障害が起こることがある治療法です。そのため、自家移植を受けるかどうかは、患者さんの年齢や合併疾患の有無、全身状態、臓器の状態などによって慎重に判断する必要があります。一般的に、自家移植が受けられるのは、65歳以下で重篤な感染症がなく、心臓、肺、肝臓、腎臓の機能が十分に保たれている患者さんです。

 大量薬物療法と自家移植の併用は、通常の薬物療法よりも高い効果が期待できる半面、吐き気・嘔吐、下痢、 口内炎、脱毛、食欲不振などの副作用も強く、肝臓、腎臓、心臓、肺、中枢神経などに命にかかわる重大な機能障害が起こることがある治療法です。そのため、自家移植を受けるかどうかは、患者さんの年齢や合併疾患の有無、全身状態、臓器の状態などによって慎重に判断する必要があります。一般的に、自家移植が受けられるのは、65歳以下で重篤な感染症がなく、心臓、肺、肝臓、腎臓の機能が十分に保たれている患者さんです。

造血幹細胞の採取方法

 患者さん自身の末梢血造血幹細胞は、血液成分採取装置を使って採取します。赤血球など造血幹細胞以外の血液成分は、患者さんの体に戻ります。通常、造血幹細胞は骨髄に存在しており、末梢血の中にはほとんどありませんが、白血球を増やすG-CSFを注射すると、末梢血の中に造血幹細胞が動員されます。G-CSFに、骨髄から末梢血への造血幹細胞の遊離を促すCXCR4ケモカイン受容体拮抗剤プレリキサホル、あるいはシクロホスファミドを併用する場合もあります。患者さんから採取した末梢血幹造血細胞は、移植に備えて凍結保存しておきます。

造血幹細胞の採取方法

参考資料

もっと知ってほしい多発性骨髄腫のこと 2021年版,pp.12

公開日:2022年6月8日 最終更新日:2022年6月8日

BOOKLET多発性骨髄腫の造血幹細胞移植に関する冊子