多発性骨髄腫とは
Q.多発性骨髄腫とはどのような病気ですか
A.血液がんの一種で、血液細胞の1つである形質細胞ががん化する病気です。
形質細胞ががん化した骨髄腫細胞が、体のあちこち(多発性)の骨髄で異常に増殖し、さまざまな症状(合併症)を引き起こします。
多発性骨髄腫は、骨髄でつくられる血液細胞の1つである形質細胞のがんです。
血液細胞のリンパ球の中には免疫を司るT細胞とB細胞があり、B細胞はウイルスや細菌などの異物を見つけると形質細胞に変わり、抗体(免疫グロブリン)をつくって攻撃し感染や病気から体を守っています。
この形質細胞ががん化すると、異物を攻撃せず役に立たない抗体であるM蛋白(異常免疫グロブリン)を産生します。そして、がん化した形質細胞(骨髄腫細胞)があちこちで無秩序に増殖して、さまざまな臓器の働きを阻害します。
骨髄腫の原因はよくわかっていませんが、年齢が上がるに従って発症率が増加し、高齢者に多いことが知られています。一般的に遺伝することはないとされています。
多発性骨髄腫では、骨髄腫細胞の増殖によって、正常な血液細胞をつくる造血機能の低下、血液中や尿中のM蛋白の増加、骨の破壊などが起こります。そのため、多くの患者さんに、高カルシウム血症(hypercalcemia)、腎障害(Renal insufficiency)、貧血(An-emia)、骨病変(Bone lesion、画像により評価する溶骨性病変)といったCRAB(クラブ)症状が出るのが特徴です(図表1)。
ただし、なかには、すぐには症状が現れない人もいます。
この病気の治療法は急速に進歩しており、病気の進行や症状をコントロールしながら、長くつきあう病気になってきています。
参考資料
もっと知ってほしい多発性骨髄腫のこと 2021年版,p.4