すい臓がんのケア
治療や療養を支える多くの専門家がいます
医療機関や地域には、あなたの治療だけでなく、療養生活を支える専門家がたくさんいます。
これらの専門家はすべての医療機関や地域にいるわけではありませんが、紹介してもらえることもあります。
気になることはなるべく早い段階で相談するといいでしょう。
診断・治療について知りたい
がんそのもの、あるいは治療に伴う痛み、精神的なつらさに対応する緩和ケアは、診断後、早い段階から受けることができます。
緩和ケア医や看護師、薬剤師、管理栄養士、リハビリ職などが集まる緩和ケアチームが相談にあたります。また、がん性疼痛看護認定看護師、緩和ケア認定看護師という認定資格を持つ看護師もいます。
退院後は緩和ケア外来が、在宅医療では在宅医や地域の在宅緩和ケアチームが緩和ケアを担当します。ペインクリニックにいる麻酔科医も痛みの専門家です。
薬の副作用、鎮痛薬などについては担当医や薬剤師に率直に話すとよいでしょう。
不眠が続く、気分の落ち込みがひどい
不安や気持ちの落ち込み、不眠、食欲不振などが続く場合には、担当医に相談するか、精神腫瘍医、精神科医、心療内科医の診察を受けましょう。公認心理師や精神看護専門看護師が心理的ケアにあたることもあります。
味覚が変わった、食べられない
体調を保ち、がんの治療を継続していくために必要な栄養バランスのよいメニュー、すい臓がんの治療直後の食事、薬や放射線治療の副作用である食欲不振や口内炎、味覚の変化などについては、栄養相談室にいる管理栄養士がアドバイスする病院が多く、栄養サポートチームが対応する病院もあります。栄養補助食品については薬剤師も頼りになります。
飲み込みがうまくできなくなっている場合には、担当医を通じ、消化器内科医、摂
食・嚥下障害看護認定看護師、言語聴覚士などに話してみましょう。歯科医に歯の治療をしてもらうとよい場合もあります。
入院中・退院後に体力が落ちた
治療などによりベッドで長く安静にしていると、手足の筋力低下など、体力が落ちてしまうことがあります。必要に応じてリハビリテーション科医が診察したり、理学療法士、作業療法士がリハビリを支援したりします。
転院や在宅医療について相談したい
転院や在宅医療に関しては、院内の医療相談室や地域連携室、がん診療連携拠点病院にある、がん相談支援センターの医療ソーシャルワーカーや看護師に相談しましょう。療養場所の候補、退院前後の手続きなどを教えてもらえます。また、在宅医、訪問看護師、ケアマネージャーなど、在宅での医療や介護の専門家にもつないでもらえます。地域包括支援センターでも相談できます。
経済的に心配なので相談したい
治療費や生活費、就労の問題などで心配なときには、かかっている病院の医療相談室、または近くのがん診療連携拠点病院のがん相談支援センターに相談しましょう。
なお、公的医療保険には、高額な治療費の自己負担を軽減する高額療養費制度があります。公的医療保険の窓口に申請して限度額適用認定証を受け取り、事前に病院に提出すれば、外来でも入院でも窓口の支払いが自己負担限度額の範囲内で済みます。
治療と仕事の両立を相談したい
病院の相談室やがん相談支援センターの医療ソーシャルワーカーや社会保険労務士などに相談しましょう。病院と職場の情報共有をサポートするなど、がん治療と仕事の両立などを支える両立支援コーディネーターがいる病院も増えてきています。休職後の復帰、転職、再就職の支援も受けられます。
ピアサポーターや患者支援団体も頼りになります
同じ病気や障害などを経験した人同士が支え合うピアサポート。「ピア(peer)」とは英語で「仲間」「同輩」「対等の人」といった意味の言葉です。
ピアサポートの場では、病気や生活に関する情報、悩みや不安を共有することで、家族や医療・福祉関係者からの支援とは異なるサポートを得られます。
がんのピアサポートを行っている組織としては、がんの種類別の患者支援団体、病院が公認して病院内で活動する患者さん主体のボランティアグループ、がんの種類を超えて、がん患者さんの支援にあたる団体などがあります。患者・家族同士が交流できる「患者サロン」を開催している病院もあります。
ピアサポートを行う組織の情報は、かかっている病院の相談室やがん相談支援センター、インターネットで得られます。
すい臓がんの患者支援団体としては、「パンキャンジャパン」などが活動しています。
●国立がん研究センター がん情報サービス「制度やサービスを知る」
患者さんが使える制度、仕事や学校、お金に関する情報の入り口となるページです。
https://ganjoho.jp/public/institution/index.html
●国立がん研究センター がん情報サービス「がんの相談」
「がん相談支援センター」とは
https://ganjoho.jp/public/institution/consultation/cisc/cisc.html
●国立がん研究センター がん情報サービス「がん診療連携拠点病院などを探す 」
がん診療連携拠点病院のがん相談支援センターでは、その病院にかかっていない患者さんや家族もさまざまな相談をすることができます。
https://hospdb.ganjoho.jp/kyoten/kyotensearch
NPO法人がんと暮らしを考える会が運営しているウェブサイトで、患者さんの属性について質問に答えることで、利用できる可能性のある公的支援制度や民間保険を検索できます。
https://www.ganseido.com/
参考資料
もっと知ってほしいすい臓がんのこと 2023年版,pp.19