大腸がんの薬物療法の副作用
Q.薬物療法では、どのような副作用がいつごろ現れますか
A.がんの薬物療法における副作用の種類や程度は、薬剤の種類によって異なります。
また、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤は従来の抗がん剤とは作用機序が異なるため、特有の副作用がみられます。どのような副作用が起こりやすいのか十分に説明を受けましょう。
がんの薬物療法に使用する薬剤には細胞の分裂や増殖を妨げたり、細胞の遺伝子にダメージを与えたりする働き(細胞毒性)があります。この働きのおかげで、がん細胞の増殖を抑え、死滅させることができるのです。しかし、同時に正常な細胞も攻撃してしまうため、副作用として身体にさまざまな症状が現れてきます。
これらの副作用は、薬剤を投与した直後から数日後、あるいは数週間後に現れます(図表19)が、その多くは治療を休めば治まります。また、副作用に対処する薬や治療法の開発も進み、かなりコントロールできるようになりました。
副作用の種類や程度は、薬剤の種類によって異なります。たとえば、転移・再発を起こした大腸がんの薬物療法は、FOLFOX療法(5-FU+ロイコボリン+オキサリプラチン)もしくはFOLFIRI(5-FU+ロイコボリン+イリノテカン)療法の3剤併用療法に、抗VEGF抗体薬または抗EGFR抗体薬のいずれかを加えた治療法が標準とされていますが、オキサリプラチンを含む治療法とイリノテカンを含む治療法では出現する副作用が違います(図表20)。
また、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤は、従来の抗がん剤とは作用機序が異なるため、これらの薬剤特有の副作用がみられます。
副作用には、自分で対処できてある程度は我慢してよいものと、我慢せずにすぐに病院に連絡したほうがよいものがあります。薬物療法を受ける際には、担当医や薬剤師、看護師から、どのような副作用(症状や起こりやすい時期など)が出るのか十分に説明を受け、どういうときに病院に連絡すればよいのか必ず確認するようにしましょう。
こんな症状が出たときにはすぐ病院へ連絡を!
●高血圧(収縮期血圧160mmHg以上、拡張期血圧100 mmHg以上)か、それに吐き気、頭痛、胸・背部痛、呼吸苦、めまいなどを伴うとき
●38℃以上の発熱や息苦しさ、空咳が続く
●下痢がひどく、水分も取れない
●持続する激しい腹痛
●出血が止まらない
●手足のピリピリ感、痛み
夜間・休日の緊急時の連絡先と連絡方法を、わかりやすい場所に貼っておきましょう。
参考資料
もっと知ってほしい大腸がんのこと 2022年版,pp.23-25